「あー、やっぱりここの空気悪い、悪いなあ」

「あ、あのー、さんがなんでここに居んのォオオオオ!?」
「銀時に娶られに来た」



バキィッ!
大きな音を響かせの頭にたんこぶができる





「そんな血だらけで入ってくんじゃねえぞコノヤロー」
「なに、依頼手伝ってやったろ」
「お前が居なくても元気でやってけたわボケ」
「そーか、じゃあ俺は可愛い妹のために勝手に突っ込んできた警察っつーことで」
「わぁい!兄大好きー!」



「いやいやあんたの兄は別に居るでしょぉおおお!」
「新八も俺の弟」
「ッッ!」


「なァに照れてんのー!お前ぇえええ!」
「銀時はー、俺の嫁にでもなるかー?」
「お前が嫁だァボケェ!」


「アンタが一番危ないこと言ってるじゃねえかぁあああああ!」





「発射ー」





ドンッ!
大きな音が響き目の前にあった筈の壁が飛び散る




兄ー、どこまで逃げるんでさァ、迎えに来る身にもなれっつの」
「総悟ー。見つかっちまったかあ」



「いやいやいやいや、爽やかに笑ってる場合ですかアンタ」
「新八、ちゃんとその頬の傷、治すんだぞ…お前の可愛い顔に傷でもついたら…」




バキィッ!
が新八の頬に触れようとした瞬間、新八がの横を過っていく




「なんで僕殴られてんのぉおお!?」
「おい、コラ総悟」
兄が触っていいのは俺だけ」
「あー、そうだな…ワリィワリィ」




が総悟の頭をグシャリと撫ぜてそのまま外に出る
ポカーンとした万百屋を放置たままで





「血だらけ」
「…」
「右腕に2弾、両足に10か所の切り傷…んで脇腹に一刺し」

「oh...」




末恐ろしい奴だ
褒めても婚姻届しか出てこないでさァ





兄がわざわざ出て行かなくても収まった」
「それでも、かぶき町の住人が困ってりゃ、俺は飛び出す他ならないね」



特に、気に入った奴らが傷つくくらいなら俺が全部傷を負うよ





「―――、そういうところ嫌いでさァ」
「ワリィって」
兄」
「ん?」



「次怪我なんかしたら、一生俺の部屋から出さねえでさァ」
「んーう、それもう100%俺お前の部屋に軟禁されてるよな」
「それ狙いに決まってんじゃん」
「その上、お前のお願い…俺が断るわけないってことも知ってるよね」



「うん」
「くっそ、可愛い。総悟、お前…悔しい」
「流石、かぶき町のオニーチャン」
「あー、でも待てよ」

「なんでィ」
「トシともこの町に上京してきたときに約束したぞ」
「あ?」





「俺以外との約束は、俺を通して約束すること」
「お、」
「…本当にゴキブリ並みにうぜぇ」





振り返れば十四郎が視界に入り
が嬉しそうに手を振る





「残念ながらは、オメーのもんだけじゃねえんだ」
「死ね、マヨネーズ」
「マヨネーズとは渡さねえ」
「死ね、マヨネーズ」

「お前殺すぞ!!」
兄…土方さんが怖いでさァ」
「んん?トシ、大人になれって」
「あぁ!?」



いつも通りに笑うを視界に入れた十四郎
しかし、その瞬間にがスローモーションを描くように倒れた






「!?」
兄!!」






ドサリと音を立て倒れたを総悟が抱える
あー、と声を漏らしが目を開け





「失血かな」
「悠長に言ってんな、バカ」






十四郎の呆れた声にククッと笑う
そのうちに、パトカーの音が響き渡りガチャバタンッ!と忙しく人が降りてきた




ーーー!」
の兄貴ィイイイイイイイイイイ!」




「アハハッ、騒音で訴えられるぞおまえらー」
「うわぁああんっ!10日ぶりの兄だぁあああ!」
「おー、退…、言伝サンキュな」
ッにっ…俺…我慢したッス…よ…ねッ」


「おーおー、頑張ったなあ、退…本当にありがとー」
ッ!」



「こんどーさん」
「… 勝手に屯所から居なくなったな」
「…掟、やぶってますね」
「――、ああ破ってるな」


「なんでもしますよ」




腹切ってもいい
さらし首でもいいだろう





「それでも、俺はアイツらの助けてが聞こえたから」
「それがお前の答えか」
「ええ、俺は、俺の答えで間違っていないと思う」

「―――、そうか」





近藤が総悟に抱えられているを撫で繰り回し口を大きく開いた





「アー!ー!天人に拉致られてたのによく無事でカエッテキタナー!!」
「!」
「そうでさァ、10日間も心配したでい」
「そーだな、俺の足が居なくなって辛かったし」

「―――、やっぱ俺ここが好きだわ」




幸せとケタケタ笑うを腕の中に感じた総悟がフッと頬を緩める
ギュッとを抱きしめた総悟




「大好きな兄が戻ってきただけで俺は幸せでさぁ」
「そうご、くすぐってーよ」




の額にキスを降らす総悟
お前なにしてんだ、と十四郎が総悟を殴る





それを見てはフッと笑った





「俺は幸せ者だな、こんどーさん」
「ああ、俺ら真選組がお前を幸せにしてやるよ」
「そっかあ、じゃあ俺はみんなの嫁だな」



「じゃあ、初夜を迎えましょうか」
「何言ってんだてめぇえええええ!」
「添い寝かあ?いいね!今日は皆でねよー!」




兄、そうじゃないでさァ
兄はかぶき町の嫁

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