「大丈夫、大丈夫だから」
「…ッ、ッ〜〜ッ」




ガラリと音を立ててまた瓦礫が落ちる
ぽんぽんっと一定のリズムで彼の背中をさすりながら
この泣き虫をどうしようかなあと考えていれば、夏希ちゃんの声が障子の前に聞こえる






さーん、包帯…変えましょ?」
「うーん。後で変えるわ。ありがとう」

「そうですか?あんまり痛むようでしたら万作おじさんに行ってください」
「ええ、ありがとう」





――― よろしくお願いしまぁああああああああああああす!





先ほどのことを思い出してフッと笑いが零れる





『来る!女子供を真ん中に隠れろ!』
『急いで…!』
『佳主馬!』
『うっ、うあ!?』



佳主馬が転んでハッとした理一さんが駆け寄る前にが前に出る
佳主馬を抱えてその輪に入ろうとするが間に合わない
その場に佳主馬に覆いかぶさり




ーーー!!!』





侘助が叫んだと同時に大きな爆音と爆風が響いた






起きたら涙を流す女性陣と佳主馬くんが引っ付いてて泣いていた
どうしたの?と覗き込めば佳主馬くんがぶわあああああと涙を流した



それもこれも数時間前
ほんの一時間前からは侘助さんがこの状態だ


侘助さんは私の大事な人なのだけれど
強そうに見えて弱い人
ラブマシーンを作ったのだって、ネット世界での自己防衛を考えてたから
近くに居た私は一番しってる




「いい加減、泣き止んだらどうですか?」
「――。もう止めろ、居なくなるな」
「うん」
「ばあさんも居なくなって、お前まで」
「うん」
「居なくなったとか、考えただけで……怖い」

「うん」
「ッッ」
「あー、ほら…泣くなら全部泣いちゃえー」
「バカ
「バカ侘助さん」


「離れるなっつったろ」
「だから、10年も付き添っているんですよ…貴方が私の小学校に来てからずっと」
「!」



ガバッと顔を上げた侘助さんに微笑んでさあ、皆のところに行きましょう?
そう笑って手を伸ばした








「実際のとこさ、侘助はロリコンだったわけね」
「まさか、さんが20歳だなんて」
「やりますね…」
「あんなバカどこがいいんだか」


「旧家の出で、東大…留学?」
「あはは!それ狙いとか!」


「でも、さんは元から帰国子女…大学は、海外の大学に行きましたし」
「お父様は外交官らしいわね」



「…怖いわあ」










「侘助さん」
「なに」
「好きです」
「…」


ふいに笑いながら言うにキスをすれば
キョトンと顔をびっくりさせふにゃんと笑った


そのあと、手を固く結べば
嬉しそうには抱き着いてきた








啼き虫
(泣き虫なキミにできることは)



一覧に戻る