「よろしくお願いしまぁああああああああああああああす!」




彼の声が蝉が五月蠅く響いていたはずの我が家に響き渡った





「こっちはあらかた片付けましたよ」
「ありがとう
「いえ、僕は理一さんの助手ですから」


「でも、さっきのさんめっちゃかっこよかったよな」
には素直なんだね、翔太」
「うっせえ!」




プイッと顔をそむけた翔太がばあちゃんの部屋行く!とかけて行った
クスリと微笑んで見せれば理一さんががれきの袋を持って僕の持つ瓦礫を手に取る




「キングカズマの攻撃力、あげたのでしょ」
「っふふ」
「流石OZのキャラクター部門のプロデューサーだね」


「煽てても飴玉くらいしか出てきませんよ」
「ありがとう、




理一さんの顔が一気に近づいてきてブワッと顔が赤くなる
だっだめです!と押し返してバタバタと近づくかわいらしい足音の方で




おにーちゃーん!」
「祐平、真悟」

「遊んであそんでー!」
「温泉みにいこー!」



「うん、いいよ…理一さんすみません」
「うん、またあとでね」






遠くから真緒もぉおおおお!と聞こえバタバタと来た真緒ちゃんを抱き上げた









「逃げられたわね」
「逃げられたよね」
「逃げられたねえ」
「…」


「―――、キミたちねえ」




ちびっこを連れて去って行ったと入れ替わるように
姉さんと佳主馬、夏希、侘助が居る



先輩は手ごわいわよ…ね、健二くん」
「ええ、…っと…そもそも、理一さんとはどういう?」




は、たまにぼくの仕事を手伝ってくれるんだよ」
「仕事を…そういえば先輩って、数学オリンピックの金メダリストだったなあ」



「師匠みたいね」
「まあ、そんなものですよ」




夏希を見れば健二くん、あっち片付けよ!と引っ張っている
青春してるなあ





「ねえ」
「ん?」
「そんなにもたもたしてると兄もらうよ」
「え?」




それを言うだけで、俺も温泉見に行ってくる!と佳主馬が出て行ってしまった
ポカンッとしていると姉さんはポンッと俺の肩をたたくだけだった









「ああ、そのあたりはゲームマスターに任せて…ええ、ああ、プログラムを外注するのは止してください」
「―――」




夜中、水を飲もうと居間に戻れば耳に着けたインカムと携帯を見ながら指示を出しつつ
左手で箒を持ち縁側を掃いているが視界に入った





「えっ?管理部のディレクターが寝た?たたき起こしてやってください
 可哀想じゃないですよ、そもそもAIを送り込まれたのも管理部がプログラムを外注したせいなんですから
 ええ、はい…僕も来週にはそちらに向かいます、ええ本社に…飛行機の予約をお願いします
 はい、寝ないでくださいね。では、失礼します」




ピッと音が響きフッと一度息を吐いたがまた箒で縁側をきれいにし始める
その姿は悲しそうな顔で、気が付いたらを抱きしめていた















目を見開く
突然人に包まれたという驚きじゃなく
それが理一さんだっていう問題で




「えっえっ、りっ、理一さん?」
「そんなに負い目を感じなくていい」
「な、に言ってるんですか」

「ここ、全部片付けたの?」
「明日はおばあ様の誕生日ですから…、さっきまで健二くんも一緒に居ました」

「健二くんも?」
「ええ、お互いおんなじこと思ってて」
「――、妬けるなあ」




え?と理一さんの方を向けば顔が一気に近づいた
フワンッと香水の香り
驚いてパチクリと瞬きして離れた理一さんを見る





「好きだよ、…陣内を守ってくれてありがとう」
「―――ッ」
「君が居なきゃ世界も陣内も守れなかったよ。恥ずかしながらね」




「ぼくは、必死だったんです」
「ん?」
「おばあ様が亡くなって、陣内の皆さんが陣内らしくなくなっちゃっていくのが怖くて」


「え?」
「僕は大好きなんです、ココの人たちが…、ここを必死に守ろうとしてくれた理一さんが」
「!」




カシャンッとの手から携帯が落ちる
きっとあの携帯を見ればの頑張った軌跡が見れるのだろう




「俺もが好きだよ」
「っ」
「こんな小さい手で守ってくれたが好き」




小さな手にキスをすればプルプルと震える
さっきの電話とは大違いだと笑えば見てたんですかー!と真っ赤になる





「でも、そんな手も全部俺が守りたい、良い?」
「―――、僕も、理一さんの全部を守りたいです」


「おお、こりゃ参ったね」
「えへへ、」





抱き上げて庭に出て星を見上げる
キレイですね!と笑うを抱きしめる




「一緒にご飯を食べて、ずっと一緒に居よう」
「ええ、みんなでご飯を食べましょう。理一さん」




柔らかい唇が自分の頬に当たって
堪らず彼を思い切り抱きしめた






真夏の軌跡
(信じて欲しいんだ、未来が視えるんだ)


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