「晋助」
「…」
「――、どうしてここにいる」
「それは、警察としての質問か?」
「まさか、大事な弟がこんな夜遅くにふらつき歩いているのが心配でしょうがないからだよ」
「うっせぇ」
「んで?どうしたの、晋助」
「…、祭りを見に」
「祭り、ねぇ…将軍でも殺しに来たか?」
「やっぱり、お前だけは生かしておけないな」
俺の一歩先をよんじまう
「知ってるよ、晋助のほくろの数まで知ってる」
「……」
「だって、俺の大事な家族だろ?」
「―――、ふざけんな」
晋助の片目が鋭く俺を貫きニィッと三日月に口が歪んだ
それに対して俺はなるべく優しく晋助に微笑んだ
「大事なんだ…だから晋助…危ないことしないで」
「断る」
「オニーチャン、さみしーなあ」
「俺はお前を兄貴だなんて思ったことない」
「ーーーそっかぁ」
「…」
「目、痛まないか?」
「心配するほどでもねェ」
「…」
「てめーこそ、胸の傷はどうなんだよ」
「大丈夫、痛くないよ」
「ーーー、耳は」
「ん?大丈夫、片方は聞こえてる」
「…」
大きな花火の音が聞こえ
振り返れば、逃げ来る人たち
「もう行っちゃうのか」
「うるせえ、」
「ん?」
「逮捕はしねぇのか?」
「するよ、俺の腕の中にいつか抱きしめて離してやんないんだから」
でも今はじゃない
また今度
「晋助が思う存分やってよ」
「それがお前の大事なものを壊してでもか?」
「うん、俺の大事なものを壊すなら、守るだけだよ」
晋助の頭を撫でてバイバイと手を振った
踵を返した家族をじゃあね、またねと呟く
「あれが、兄の唯一の家族?」
「そーだよ、だから殺さないでくれ」
「それは保証できねぇよ、攘夷志士は逃せねえ、つかこの惨事もお前のオトートっつーのが原因だし」
「うん。ワリィ」
「そうやって…兄が攘夷志士を守るたんび、兄がとっつぁんに拉致られるでさァ」
「うん、」
「兄があそこに行くのは嫌でさァ」
「うん」
「俺らの兄貴、盗られたくない」
「うん」
「兄はここの兄でいてくれればいいのに」
「ごめん」
「ッ」
「できない約束はしないんだ」
総悟の頭を撫でて絡繰りへ向かった
「っくく」
「なんでさァ、土方ァ」
「ーーー流石俺らのだな」
「……」
「本当、手のかかる兄でさァ」
つぎに
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