37,(ナメクジを)救出





「では、私とがナメクジの救出」
「私は誘導として待機しよう」


「じゃあ、私と左門くん平くんで囮」
「はいっ」




あれから喜三太を助けた後に仙蔵と利吉さんは察したようで戻ってきてくれたが
喜三太のナメクジを救出しなきゃ帰れないと泣き顔になる喜三太に俺は一言で助けようと頷いてしまった
もちろん利吉さんに叩かれたけど




「仙蔵と喜三太はここで待っとき」
「一人で大丈夫ですか?」
「ああ、全然平気やで」




ニッと笑って見せれば仙蔵と喜三太がキョトンとして
喜三太はなにかわかったようでニパッと顔を緩めた



地下牢をカツンカツンッと降りて兵士の前に立つ



「おお、五月雨。どうした?」
「ナメクジの処分が決まった…私がこの手で焼き殺そう」

「そうだったのか…、生き物殺すのは辛いが…」
「仕方ないだろ、殿にぶちまけたんだからな」


「…開けてくれ」
「おう、」




兵士がカシャンッと施錠を外し壺を渡してくれる
ホッとして地下牢を後にし、仙蔵たちの場所へ行こうと踏み込んだ一歩が



カカッ





「五月雨…」






オーマガトキの忍隊の勢ぞろいに阻まれた





「(ああ、面倒臭い)」






***





ッ!」
さん!」




煙幕を施し、2人の居場所に戻る
喜三太に壺を渡して喜三太を担ぐ仙蔵の腕を引く




「走れッ!!見つかった!」
「なっ!」




「いたぞー!」
「逃がすか!」





追ってきた忍者隊に喜三太がおぉーと声を漏らす
仙蔵が舌打ちをかまし、俺を見る




「…――利吉さんたちには合図してあるからもう逃げとるハズ」
「なら、ここを突っ切れば」
「勝てるっちゅーことや」


「なら、走るのみ!」





仙蔵の脚力が上がりそれに続く
喜三太を持ちながらも応戦する仙蔵を守りつつ先へ進む





「とった!!」
「ッチ!」
「仙蔵!!」





叫んだ忍者が仙蔵の懐に潜り込もうと背を屈める
屈めない仙蔵は後退しようとするも早すぎて止まれない


かくいう俺もかなりのスピードを出していて止めることができない
スラリと忍び刀を抜いた忍者に仙蔵が喜三太を囲うように守った




「――――ーッ!!」





***




湿り気が半端ない
そう考えているも、幸せそうに壺を持つ山村喜三太に悪気は感じない



「仙蔵!」



の叫び声、それは自分の目の前の忍者が忍び刀を抜いているのが理由だ
これは避けられない…
死を覚悟しようじゃないか


山村を抱きしめればはにゃ?と疑問形の声




「(本当に危機感がないな…一年は組は…)」




呆れつつも次に来る鋭い痛みを待ち、目を閉じた




ドッ!





刀が何かを貫く音にハッと目を見開く
腕の中の山村がギューッと目を瞑っているのだけがわかる


トスンッと背中に重みを感じとり顔をバッと上げる




「仙蔵、このまま真っ直ぐ…窓から降りるで」
…?」





背中にフッと重みを感じなくなり自分にも痛みがないことを自覚する
立ち上がり抱えた山村ごとキョロキョロすれば思わずすぐに山村の目を隠した




「はにゃぁ!?」
「行くで」
「―――、はい」





ハァハァ、と息を絶えに話すの手元は血まみれだ
今の一瞬に何が起こったのか
の返り血で何が起こったのかは安易に想像できた




ガシャーンッ!





格子を爆弾で吹き飛ばし視界に入った平たちを見る
3人はギョッとしたように私の後ろに居るを視界に入れ駆け寄ってきた




さん、怪我を?」
「全部返り血やって、ほら…ここの橋を爆破させて逃げるで、厚木先生のお待ちや」

「―――、
「利吉さんは余計なこと言わないでええ、仙蔵…爆弾は任せた」
「ああ」




利吉さんとの間に何かが飛び交ったがわかる
橋を爆破させなんとか脱出をして森に潜る





「厚木先生!」
「みんな無事だったか、…では立花とさんは園田村に向かってくれないか、援護が必要だ」
「ならば、私も…!」

「利吉さんはこっちで自分の任務も終わらせろ、と山田先生の言伝ですよ」
「……、ッ!」




利吉さんに呼ばれたが腕を引かれ茂みに入る
少しして戻ってきたがたんこぶを作って戻ってきた




「立花くん、が無茶したらすぐに手刀で気絶させてやってくれ」
「はい、わかりました」
「え、仙蔵…断って断って」

「…、さきほどの一瞬でなにが起こったか教えてもらわねばならんからな」
「わーお、」




どうしたものか、と首を傾げたに利吉さんが
ぶりっこで誤魔化すんじゃない!とまた殴った




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