「ぎゃぁああああああ!何すんのォオオ!俺の昆布がぁあああ!」




大きな声に薄っすら目を開けると
新八が俺のことを覗き込んでいた




「あ、兄!!起きた!!良かったァ」
「しん、ぱっ…ってえ?」

「ここはエイリアンの上です」
「おれ、」
「エイリアンに吸収されそうになってたんですよ?怪我もあまりなくてよかったです…」



起き上がると、新八に支えられあたりを見渡す



「…ッ、なん…アレ」
「ああ、幕府の戦艦です」
「完全に撃ってきてる」


「え?」
「アレ、なにこの音、なにこの音」



星海坊主殿が前に出てきて番傘を瞬時に開く
俺は新八を抱きくるめて頭を伏せた






ドォオオオオオオオンッ!






大きな爆発音に鼓膜が揺れ
新八を強めに抱きしめ鼓膜が揺れるほどの音を逃れつつ
次に飛んでくる破片を新八から守る



ガンッ!




「ッ」
にっ…!」



船体に当たる瓦礫の音に新八が驚いて動くのを押さえ
爆風に体が浮きそうになるのを懐から取り出した小刀で地面を突き刺し支えながら止むのを待った


パラパラ




瓦礫の崩れる音にゆっくりと顔を上げ星海坊主殿を見れば




「!」
「おっさん…」
「坊主さん…」




傘一本で俺らを守るという偉業を熟していた…




「ッくく、俺も焼きがまわったようだ」
「いや 髪の毛も焼きがまわってるけど」



「他人を守って、くたばるなんざ…」





ぐらりとバランスを崩した星海坊主さんに皆が駆け寄る
俺もと立ち上がった瞬間フラリと足元が崩れ尻餅をついてしまった





!」
「ぎんとき」
「大丈夫か…?つかもうどれがお前の血かわかんねえ」
「ほぼ、返り液?」

「冗談言ってる場合かボケェエエ!!」









「逃げ遅れた罪に反省文100枚」
「はい」
「公務員としての職務放棄の反省文100枚」
「はい」
「約束、破りそうになった反省100枚」


「もう、勘弁してください」
「馬鹿だろテメェ、バカ以外の何でもねぇよバカ」
「トシ…耳にタコ出来る、両耳聞こえなくなっちゃう」


「何回言わせれば気が済むんだ!!」




トシにおぶられて両サイドから総悟と近藤さんに説教を受ける
まあ近藤さん側はあんま聞こえてないけど




「しっかし、化け物だったな…あの星海坊主っつーのは」
「化け物ねえ」

「そーかあ?」




近藤さんが俺の頭をポンッとたたいて前に進む




「俺には奴が化け物になんて見えなかったけどな…娘を守ろうとじたばたする
 ただの人の親に見えたよ…ガキに手を焼くその辺に居るただの親の」


「親か」




トシの背中暖かいなあ、
俺も…こうやって抱きしめてくれる親が居たら良かったのに





「まっ」




隣で総悟が俺をチラリと見て近藤さんを見る





「とっつぁんの命令を意地でも逆らおうとした近藤さんも似たようなもんでさァ」
「え?」
「違いねェ、あんだけとっつぁんの決めたこと否定できたもんだ」
「?」

「えー?そんなことしたっけえ?」
「まあ、総悟も同じだろ…あんなえいりあんに一人で飛びかかろうとしやがって」
「土方さんも右足が俺より出てたました」
「あぁ!?お前の方が一歩多かったね!!」




兄」




後ろから退に声をかけられ振り返る
前で言い合っている三人に気付かれないように退が俺の耳元に顔を近づけ





「三人とも、兄がアレに掴まってるの見て暴れかけたんですよ」
「!」
「俺ら隊士全員で止めたんですから、3人で兄を殺すのと命令に逆らうのを秤にかけるほど落ちぶれてないっていって」




バズーカ取り出してとっつぁんの戦艦撃とうとしてたんですから




「ーーーッ」
「まあ俺もそこまで強く止める気はなかったんですけどね」
「え?」
兄が居ないと、俺ら死んだも同然ですから」

「退…」
「おい、退…余計なこと口走ってんじゃねえよ」
「ひぃ!ふっふくちょ…ッ」






貴方の家族になれますか
(いつかはなりたいです)


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