「で?」
「何、兄でも振り返らないアル」
「じゃあ俺+ごはんですよを2缶セット」
「話すアル」
「っふふ、素直な妹は大好きだよ」
「兄ズルいよ、ものぢちは」
「こーんな、寒そうなトコで覗きかい?」
「銀ちゃんたちが打ちひしがれてないのがムカつくネ」
「打ちひしがれてる?」
兄がきょとんとした顔で私と同じように小窓を覗く
銀ちゃんのアレがアレな話をしていて、兄がアハハッと爽やかに笑った
「なにー、アソコ腫れたのかよ銀時ー、ミミズにしょんべんかけたんじゃねえの?」
「その正にアルね」
「おやまぁ」
小窓から離れた兄が私をヒョイッと抱え膝の上に乗せる
ギャーギャーと中でヒロイン合戦が始まるのをちょいちょい見る
「私、家族っていうのがわからない」
いつも一人で、待つことばかり
待たせるなんてしたことない
「だから、待たせたらなんて言ったらいいのか、どうやって戻ればいいかわからない」
「家族、ねえ」
「兄の家族はどんな感じだったネ?」
兄のことだ、暖かい家族の中に囲まれて
逞しく優しく育てられたネ
「俺、一人だけ弟が居んの」
「羨ましいアル、私の糞兄貴と交換してほしいネ」
「神楽って俺の傷見たことあったっけ?」
「…、胸の斬り傷のコト?」
「っそ、アレ…おとーとにやられたの」
「え?」
―――― …、テメェ何やってるかわかってんだろうなァ
――――― わかってるよ、晋助は……間違ってる
ーーーー なら、邪魔だ
「大好きな弟に邪魔って言われたの」
「なんで!」
「わかんね、でもな、今の居るトコロも家族みたいなもんなんだ」
「…あのバカ警察が?」
「そ、あの警察が」
兄を心底呆れた目で見ればフハッと笑う兄
「帰りにくい時あったよ、弟関係のことだとかさ」
「!」
「でもね、そういうときでも、皆がなーんにも言わないで」
おかえりってそれだけ
それだけ?何も、言わないアルか?
「言わないよ、家族っつーもんは言わなくても大体察し着くから」
「そ、そういうものアルか?」
「そーゆーもん」
だから神楽もさり気ない感じでただいま、って帰ればいいの
グリグリと頭を撫でられ混ぜられ
くしゃくしゃに抱きしめられる
こういうところ、やっぱり兄はズルいネ
むうと頬を膨らませれば頬をつつかれる
「な?神楽、家族って考えると難しいか?」
「むー、考えたことないから、難しい」
「そっか!」
「なんでそんなに嬉しそうネ」
「嬉しいさ!妹が成長したみたいで」
「子供扱いは嫌アル!!大人な扱いするネ!」
「あはは、じゃあ神楽」
「!」
下を向いてむくれていると兄が顔を覗き込んできて
フワンッと爽やかな笑顔とは違い艶のある笑みを浮かべた
「俺の腕の中に戻ってきてくれてアリガト」
「〜〜〜〜!!兄!」
「アハハ、やっぱ怒ったー」
「むう、」
「かわいいなあ、やっぱ妹っつーのはいいね」
「兄の妹は私だけ?」
「おーそうだな、弟はいっぱい居るけど妹は神楽だけだ」
「ならイイね!」
兄の膝から降りて兄を見ればん?どうした?と笑う
「だいすき、兄!」
「俺も大好き、神楽」
ガシャーンッと音が響いて姉御とさっちゃんが出ていくのが見えた
銀ちゃんたちも外に放りだされたのを見て兄が私の腕を引く
気が付いたお登勢さんがフンッと
鼻で笑う
「、久々だねぇ…不良娘を連れてきてくれたのかい?」
「ええ、もうこの時間は保護対象だったんで」
「そうかい、ありがとねえ真選組でもアンタだけには世話になってるよ」
「いえ、妹の為なら宇宙どこでも行きますよ」
「心強いことだ」
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