「奴が…ついに動く」
「ーー…とっつぁん、そりゃ確かかィ」
「…」



だれ?




「間違いねェ、奴の周りには常に俺の密偵が這ってる、奴もそれに感づいて
 ナリひそめてやがったが、我慢比べは俺達、歳よりに分があるってもんよ、我慢できずに動き出しやがった」

兄…そろそろ食べごろでィ」
「もぎゅ」



総悟があーんしてくだせェと言うから口に入れて


「(ね、奴って誰)」
「(さァ?)」



「俺ァ、もう後手に回るつもりはねーよ、幕府の連中がガタガタ言うなら、腹切る覚悟だ」




でもとっつぁんが腹切るということは俺らも切らないといけないよね
もぐもぐと口を動かしていると



…もんじゃ食ってる場合じゃねぇんだ、決戦だよ……奴も奴の企ても、すべて潰す」
「もぐ」
「…そうか、とっつぁんがそのつもりなら、俺たちの命もあんたに預ける」




やっぱり



「フンッ、頼りにしてるぜ」





とっつぁんが立ち上がり去るのをお辞儀して過ごす
そろそろ、聞きたい




「ね、近藤さ「トシ、、総悟…一つ確認して起きたいことがある」
「なんだ?」
「奴って…誰かな」



「「しらねぇのかよ!!!」」




とまぁ、思わず叫んでしまった俺は前日まで結局奴が誰かわからずじまいだった
一通のメールが届き、開くと




「あれ?栗子ちゃん」




兄、今大丈夫ですか?
うん大丈夫だよ、どーしたの?


あのね、実は明日初めてデートするんだけど
どういう格好がいいと思う?兄ならどんな服が良い?





「ーー」




絵文字が沢山つけられた文面に目をパチクリとする
もしかしいて…奴って…え?
栗子ちゃん?いやでも待てよ…とっつぁんが栗子ちゃんのこと奴って呼ぶわけないし



「あ、返信」





栗子ちゃんならなんでも似合うと思うけど
しいて言うなら最近の流行りって丈の短い着物だよね


そっそうなんだ!!
ありがとう
後ね、どのくらい前に待ってればいいかな、1時間前に行こうと思うんだけど


え、早くない?


そう、かな



うん、せめて30分前とかはどう?


で、でも心配で…



うーん
じゃあ







兄、わ、私…どうですか_」
「可愛いよとっても似合うじゃん」
「!!よ、喜んでくれるでしょうか」
「うん、こんな可愛い彼女が居るとか幸せな野郎だな」




栗子ちゃんの顔を覗いて微笑む
頭触ろうと思ったけど、とっつぁんの殺気が怖いからいーや


けど、彼是1時間はこうやって話してるんだけど
女の子待たせるとか…



「あ!」
「来た?」
「はい!時間つぶしてくれてありがとうございます!」
「うんッ楽しんでってね」




栗子ちゃんにバイバイと言って茂みの方へ戻る





「おー、栗子」





振り返ればチャライ人間が居て、顔を顰めてしまった





「…野郎ふざけやがって」
「とっつぁん」




茂みを見ればとっつぁんが俺を手招きする



「栗子はなァ、てめぇが来るのを一時間も待ってたんだよバカヤロー」
「間違いないな」
が居なきゃ、何十人とナンパされてただろうに」
「違いないね」



「俺が手塩にかけて育てた娘の人生を一時間も無駄にしてくれやがって、残りの人生すべてで償ってもらおう」
「トシ、俺もムカついてる…銃を貸せ」



「またんかいィイイイイ!」
「「あ?」」
「お前ら何ィイイ!奴ってアレかァア!?娘の彼氏ィ!?」


「ふざけんなトシ!あんな一時間も待たせる彼氏が居るか!彼氏じゃねえよ!!」
「そうだ、あんなチャラ男パパは認めねーよ!」


「やかましいわ!!俺はお前を警察庁長官なんて絶対認めねーよ!」


「土方さん、俺もアンタが真選組副長なんて絶対認めねーよ!!」
「おめーは黙ってろぉおお!!」
「トシ、お前悔しくないのか…俺らが昔から知ってる栗子ちゃんがあんなのに捕まってんだぞ!」
「お前も黙れェエエ!!どんだけ兄貴だよ!どこまで兄貴なのお前ェエエ!!

 冗談じゃねェ…こっちは仕事休んでまで来てやってんのに、娘のデート邪魔するだァ?
 やってられねェ帰る」


「オイ待て俺がいつそんな事頼んだ…俺はただあの男を暗殺してほしいだけだ」
「もっとできるか」




トシが踵を返す
俺は栗子ちゃんを見てとっつぁんにマシンガンを借りて標準を定めた



「一瞬がいいかな、じわじわ死ぬのがいいかな」
「じわじわで頼むぞ、
「じわじわじゃねえよバカ




トシが俺の頭を殴る




「あんなチャラ男が栗子を幸せにできると思うか?いや、俺だってなァ娘の好きになった奴は認めてやりてーよ
 悩んで…色々考えた…それで、抹殺しかねーなって結論に」
「色々考えすぎだろ!マフィアかお前は!!」
「警察なんてほとんどマフィアみたいなもんだよ」



「長官がとんでもねえこと言ったよ」





小さいころの栗子ちゃんは確かに危なっかしいところあったし
とっつぁんみたいに破天荒でもあった
だからこそ、しんぱいだから



「心配だからさ」
「心配だからメリーゴーランドってか?!」
「相手の情報を得ないとな」

「お前、とことんオニーチャンだな」




トシがタバコを吸って心を落ちつかせている
かくゆう俺は若干楽しんでいる




「な、これってずっと回り続けんのかな」
「んなわけあるか」
「え、じゃあいつとまんの?」
「あ?」
「降りるタイミングとかちいせぇ子はわかんないよな」


「いや、コレ止まるし」
「つか、いつになったら距離が縮むんだ?」
「縮まねえよ!!!」

「え?そうなの?」
「お前、いつになくキラキラしてねぇか?」
「そうかな?なんかすっげぇ楽しい」
「…遊園地来たことねえのか?」


「まあな」




周りを見渡せば楽しそうな家族やカップル




「おにいちゃぁん!」
「何処行ってたんだ、お前…!探したんだからな」
「ごめんなさぁあああい」





その光景に見覚えがある
つか俺らか




ーーー お、お前ら…どこ行ってたんだ!
ーーー …、ーー!
ーーー し、晋助…、ほら小太郎も銀時も…泣くな…

ーーーー 、ごめん
ーーーー 勝手に抜け出して悪かった


小太郎は涙を流し俺に抱き着き
ブスッと銀時が答える



ーーー 馬鹿だなあ、今度抜け出すときは俺に言えよ?







もう巻き戻しはできないから
(俺は生きている気がしないのかもしれない)




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