「新人を?」
「あぁ、そろそろ時期だろ」

「ーー、そっか」
「いっつもそういう顔するな、お前」
「そうかな」

「ーー…、今回の任務の指揮は俺がやる、…お前は援護だ」
「ああわかった」



が頷くのを見て会議室の障子を開く






「今回の獲物は…春雨の残党だ
 情報によれば一角の旅館に身ィ顰めて何やら企んでいる……山崎」

「はい、たくらみは江戸を業火に彩る」
「ということだ…神妙にお縄に着かせてやる、一番隊、十番隊を筆頭に、援護にが回る」



そこでザワリと隊士が騒ぐ
想定していたことに近藤さんも総悟も黙ってを見た


近藤さんの横に座るがゆったりと立ち上がりダンッと鞘を畳に突き付ける
そこも新米以外は見たことのある光景だ




「騒ぐな新米、」
…兄ィ?」




誰かがポツリとの豹変ぶりに声が上擦る
それも新米以外は知ってい光景






「こっからは話すこと、お前らが聞くこと全て、お前らが真選組だからっつうことで話すんだ」


「ーーーッ」




「静粛に、聞くんだ…わかった?」





最後は綺麗ないつものが微笑む
突き立てた鞘を軸に胡坐をかいて座ったが俺を見て、ごめん続けて?と言う



会議が終わった後、新米隊士がに近づかなくなるのもいつもの光景だ




「また新米ビビらせていいんですかィ」
「んー、いつも怒らない奴が怒るっつーのが一番効くんだよ?」
兄がその法則に当てはめても想定外に効くことを理解した方がいいと思いまさァ」

「確かに、新米君たちが兄ってこなくなるのは寂しいけどね」
「いつものことでさァ…その後戦場に出てまた懐く…それも無限ループでィ」

「今回もそうだと嬉しいなあ」
「…、少なくとも今兄の後ろで稽古してる連中はそうですぜ」


「っふは、皆怪我しないようにな!」




「「「「「「「「!ウィッス!!」」」」」」




「…新米にも言えばいいでさァ」
「絶対行かない、新米の稽古は当日まで顔出さないからな、総悟」
「はぁ」





の姿が見えなくなるまで総悟がその背中を見て
甘いニーチャンが居るから士気が下がるでさァと隊士にムチを打った







「退…、敵の配置は?」
「やはり、今日が浪士の集まりなのは間違いないです…数が多い」
「やっぱり明日決行しようっつーことだな」

「ええ、兄の配置はいつも通りで?」
「おう、今回の新米は真選組が形になってから来たやつらだから」
「ゆとりっぽいってことですか?」
「あはは、そうかもしれない」



刀を一つ鞘のままひっぱりだし重さを確かめる




「その刀、抜くとき来ますか?」
「さーな…、」

「前に抜いたのは武州時代ですもんね」
「うん、お前が斬られそうになったときな」
「アハハ、懐かしいや」




退が俺の隣に並び俺の顔を覗く





兄も自分のためにちゃんとその刀抜くときは抜いてください」
「ーーーー考えとく」





お守りとして持ってるだけ
いつもはもう1つぶら下がっている昔からの愛刀を使っているから
それを抜いてすでに聞こえてきた叫び声に紛れて行った




兄!気を付けてくださいね!」




そんな優しい退の声をききかながら







誰の刀なんでしょう
(兄の丈に合わない刀)




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