ーー 誰だ、此処は俺の秘密の場所だ
ーー だ、れ?
ーー 沖田総悟でさァ、アンタは?

ーー 高杉
ーー 血だるま

ーー 子供が見るものじゃありません


腹の血を押さえたに総悟が首根っこを掴む


ーー ?
ーー 死ぬのは、まだ早そうでィ…俺が飼ってあげるでさァ
ーー なにそれ



小さく笑った
そのあと直ぐに気を失い、総悟の身体に崩れ落ちる





「なんの因果かわからないけど」




定春が結界の壁を破り俺を超えていく
子犬を乗せた俺も急いで球場に向かう





ーーー





初めて兄と呼ばれたその時は嬉しかった
まだ小さな総悟に懐かれるのは凄く嬉しくて総悟の頭がクシャクシャになるまで撫でた記憶もまだ新しい





「わん!」
「ん、大丈夫だよ」
「わふ?」
「犬を見れば飼い主の性格がわかるっていうだろ?」





!」
兄!」




呼ばれた名前に振り返れば息を切らして走ってくる黒髪と栗毛




「総悟、トシ!」
「大丈夫か?お前、よくあんな高いとこ登ったなアホか?」
「不本意だ」

兄、無事でなによりでィ…」
「おいお前らァ、取材の奴等を止めに行くぞ」





マスコミが俺らに駆け寄りマイクを顔にぶつけんばかりに突き付ける





「真選組さぁあああん!!どういう状況か教えてください!!!」
「ぶふぅ!!!」
「トシ!!」


「おぉう、そのまま殺ってくれィ」
「こら、総悟」



「あ、貴方はさん!!さん!状況を細やかな説明お願いします!」
「えっえー?飼い主がしっかりしてると案外大丈夫なもんですよ」
「え?どういうことですか?どういうことなんですか?」

「あー」
「(兄って断れないタイプだから損ですぜェ)」
「(あぁ、可哀想な奴だ)」




「どういうことって言うのは、つまり…纏まりましたよ!ってこと!」
「「(雑…ッ)」」



適当に答えればアナウンサー達がきょとんと俺を見る




さん…どういう?」
さんらしくないっていうか」




ねえ?とアナウンサー同士が顔を見合わせる
いやだってこれ面白い事言わないと離してくれないし…
新聞のタイトルになりそうなこと言わないと引き下がらないよな




「今回のあの妖怪はこれからどうなるんでしょうか」
「これからも大事に育てられるんじゃないかな」

「では、この江戸に存在する、ということですね?」
「ええ」
「その点で危険性はあると思うんですが、そこのところは真選組としての対処はどうされるんですか」
「(なんか、定春が危険物質になってる)」




これじゃあこれから定春が普通に散歩できない





「あの子は妖怪じゃないです」
「え?」




そう、飼い主が大好きで
いつも一緒に居たくて


暖かい場所に憧れて、独りが怖い


「あれは、犬…ただの、犬です。俺と一緒のな」


「「「「え"」」」」」
「?」

「い、一緒…?」
「おい、…」
にい」



「おう、俺も拾われたから、アイツの気持ちよくわかるんだ」




一瞬にして報道陣が凍りづいた





江戸のオニーチャンは犬らしいです
(ーーー!!昼のニュース全部お前の発言なんだけどぉおお!)
(近藤さん、とりあえず落ち着けって、ホントのことだし)

(!!)





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