「一番隊は巡回を西へ」



淡々と朝の会議が進んでいく
ぼやっと外を見やれば蝶が飛んでいた






「蝶々」
「ん?どうした、
「ん?いや、蝶が飛んでるなんて季節の変わり目だなあなんてさ」



トシが会議はここまでだと立ち上がる
そこからぞろぞろと皆が立ち上がり去っていく



「俺も、総悟に着いてく」
「別に良いでさァ」



総悟のパトカーに乗り込み後部座席に座る
隣に座った隊士が凄い俺を見てたけど、なんだったんだろう




「(江戸も落ち着いたなあ)」




周りを見渡し江戸の風景を感じる
でも上を見れば高層ビル




兄、あんま顔出すと鼻が折れてしまいますぜ」
「うん、ごめん」




ガガッ
無線の音が入り助手席の隊士が通話のボタンを押す




「どうした」
『かぶき町のコンビニで立てこもり事件が発生、現場に急行してください』
「隊長、左です…最短ルートを行きましょう」
「あァ」




急カーブをしたパトカー
現場のあたりは野次馬が多く遠くに車を置き走る




「真選組だ!!」
「退いて、みんな危ないから下がって!!」




真選組の免許を見せながらコンビニに急ぐ
先に進んだ総悟の背中に追いつけばメガホンを持つ総悟の姿




「ちょいと面倒な奴だぜィ」
「なにか持ってるの?」
「拳銃を持った奴らが5人ですぜ」

「そうか、困ったなあ」


「おーい、こんなきな臭ェことはやめろィ仕事増やすなよチクショウ」
「総悟、それメガホンついちゃってるから」
「いやあでも、ピクリともしねぇんでちょいと不気味ですぜ」




総悟の言うとおりほとんど音が聞こえない




「俺、裏口から見てみる」
「あ、俺もいくでさァ」




総悟と一緒に裏口に回って無線を繋ぐ



「総悟、これならきっと不意をつけば叩ける」
「…、一番隊に告ぐ…強行突破を行いますぜ」


『了解、どのように配置しますか』
兄」
「煙幕を散らしてえんがちょーしようか」

「…随分アバウトに行きますねィ」
「行けるよ…見てあの汗」
「…」



「緊張で周りが見えてない証拠だ」
「流石兄…」
「右側の窓に投げて…煙幕が始まったら監察の山崎に人質を救出」

「幸い、人質は犯人の背後でさァ、正面から気配を消して急所を斬りなせェ」



『承知』
「俺と総悟はここで見張りな」
「ええ、周りで浪士の気配がうようよしてらァ」
「よくわかったな」



流石だ、と総悟を撫で耳元で囁く




総悟、煙幕が始まったら倒すよ
了解でさァ




無線から、1とカウントが始まる
総悟の声に10が紡がれた瞬間刀を抜く



屋根の上に見えた浪士を切り殺しヒィッ!と声が上がる
そのまま隣の屋根に移り懐の針を投げ急所に当てる



煙幕が上がり始めこっちまで視界が薄れてくる
総悟の気配を感じながら総悟の背中に預ける



兄ィ、数が多いでさァ」
「煙幕に乗じて斬り殺す…、煙幕が空ける前に全部終わらそう」
「ええ」




総悟から離れ浪士を斬る




ヒュンッ!




横切った何かが屋根を突き刺す
頬が切れ口の中に苦い何かを感じグッと手で拭った



直後に感じた殺気と嗅いだことのある煙管の匂いに目を見開いてしまった




、久しぶりだなァ」
「晋助…」




煙管の味を噛みしめて
(なんでここに居るんだと)









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