「高杉ィ」
「あァ?」



兄が俺をよんだ気がして来てみればこの様だ
高杉晋助、兄と同じ苗字なコイツを睨みつければニィッと笑った



「その人は俺のモノですぜィ、横取りなんて意地汚ねェ」
「あ?何寝ぼけてんだお前ェ」



見せつけるように兄の額にキスをおとすソイツに拳銃を発砲する
頬を掠め髪を貫いたそれに高杉が笑う

垂れてきた血を舐め踵を返した



「おい、その人を置いていけ…」
「できねェなァ」
「人のモノとるなって言ってんだろうが」




刀を抜いて高杉に斬りかかる
高杉は兄の刀を抜いてキィンッとそれを止める

金色に光らせたその瞳は兄そのもの
やはりそうかィ
まあでも



「今の兄は""ですぜィ」
「ーーーっは」





高杉が兄の羽織を肌蹴させ傷を見せてくる




「この所有印が見えねえかァ?」
「ッ」
「止めろと縋りついてきたコイツを見れるのは俺だけかもなァ」


「ーーーッ!!」
「オイオイ、熱くなんなよ」
から手を離せつってんだ!!!」



「あ"?」
「!」




強い殺気に目を細める
息と剣の鼓動を合わせる




ーー 総悟、刀を振るうときは鼓動を合わせるんだ
ーー 刀と
ーー 吐いて…吸って、剣と息の揺れが一緒になる




グッと刀を握り、グタリと眠る兄を見た




ーー その後、相手を見て呼吸を整える
ーー 相手?
ーー そう、俺と呼吸を合わせ




ーー 合った時に斬りかかれ!!





「死ねェエエエ!!高杉ィイイイ!」
「ーー、こいつにも教えたのか




高杉の手元からが抜ける
ドンッ!!と屋根に叩きつけられたにビクリと肩を揺らした



ズンッ!
かろうじで避けた相手の刀が肩を貫く



「ぐっ」
「…、を奪おうなんざ考えてんじゃねェ」
「ッ」


「ーーッ」




高杉の動きが止まり足もとに視線が移る
ゆるりと移した視線に兄がうつり、高杉の足を掴んでいた





「…すけ、ダメ」
、兄」
「ーー、もうしびれが抜けたのか流石だな」




高杉が兄の頭を掴み上半身を上に向かせる




「黙ってろ、すぐに連れて帰ってやる」
「ーーッッ、ッッ」




首を横に振る
俺の肩をチラリと見て目を見開いた





「総悟、肩…!」
兄…、」

「晋助!!」





声が戻ったのか力任せに叫んだ兄が高杉に頭を弾かれる
反対側に倒れ込んだ兄が屋根から落ちる



「ッ」
兄ィイイイイ!」
「…俺の言うことが聞けないなら死ね」
「ッ」



「…興ざめだ、次は逃しやしねェからなァ」




屋根から落ちて行った兄を抱え地面に降りる
現場検証をしていた周りの隊士が目を見開いて隊長!!と叫ぶ




「直ぐに救急車を呼びなせェ」
「はっはい!!」
兄!?」
兄が!おい救護班急げ!!」





フッと上を見る
そこには何も気配がなくさっきの言葉がこびり付くだけ



「(次ねェ)」
「ーーん」




唸った兄を抱きかかえ救護班が来るまで
兄の頭上に顔を埋めた






運命だったのでしょうか
(飼い主vs飼い主)






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