人が斬れる音が聞こえた




「やっぱつえぇじゃねえか!」
「すげえな、あの新人」
「こりゃあ、歴史が変わるかァ?」





「鬼道丸」





確認するように呟いて外道の道を歩く
カツンッと1つ増えた足音に振り返る




「アレ、お前」





挨拶代わりに懐に忍び込ませていた拳銃を放てば
一気に気配が近づいた





「気配だけでよく誰かわかったな」
「え?喋るの?」




それだけでもイラつくんだけど





「止せ」
「!」





影から一人、すべてを隠した人間が現れる
あれ?今日って厄日かな





「天導衆の方が何か、俺に用事ですか?」
「なぜ貴様がここに居る」
「さぁ、なんででしょう」




チャキリと鉄の匂いが鼻先を掠める
目の前に向けられた真剣に銃を降ろす





「わかっているのか、お前が下手に動けば…」
「…」
「お前は私たちの駒だということを忘れるな」


「……」





ピッと頬を斬られ踵を返す
朧が横を通りボソリと呟かれた






「(逃げようとしただけでムダだ)」





ははっと笑いを零してその場に座り込む
ばかだなあ、ただ守りたいだけなのに




「どうかしたんですか?」
「?」





視界に入った彼は血の匂いで満ちていて
ああ、鬼道丸か、と顔を俯かせた





「ギャップありすぎでしょ、オニーサン」
「!」
「あんな、外道娯楽やって楽しいですか?」
「な、なんのこと…」


「何のために人を殺しているんですか?」






逃げ切れそうにありません
(人質は江戸の大事な人たち)



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