「…と、いう訳で金が必要なんです」
「宝を守るためにね…、お…このシールってレアもんじゃん、坊主凄いなあ」
「っへへ!兄のお願いでもあげないからね!」
「っはは、じゃあニーチャンもいっぱいシール買って当てないとな」

「ダブッたら頂戴よ!」
「おれ、おれ、おまけのクッキー食いたい!」




「道信さん」
「なんですか」
「おれ、なんも見てねーっすから」
「?」


「そこに転がる鬼面も、ここにアンタが居ることも」




名刺を置いて彼に見せれば目を大きく開いて顔を真っ青にする
それを横目で見てニッと笑い子供を抱き上げる




「おれ、弟が反抗期で…こういう弟欲しかったんすよ」
「俺も兄みたいなニーチャン欲しい!」

「ん?もう、俺はお前のニーチャンだって」




目の前の少年を地面におろし自分も立ち上がる




さん」
「道信さんが、答えを見つけるまで俺も手伝います」
「けど、この仕事はやめられない」


「知ってる。でも減らすことはできるでしょ?」
「!」
「俺もね、顔は効くんだ」
「でも、あのスタジアムは天導…ッ「かくれんぼする人この指とまれー」





指を掲げれば我先にと反応し俺に飛びついてくる
道信さんはそんな俺を見て俯いた









兄」
「んー?」

「なにしてるんでさァ、」
「ドッキリマンシール集め」
「…なんでさァ、それ」

「いやぁ、レアが出なくてさ…箱買いしたんだって、このクッキー食う?俺甘いのダメなんだよ」
「茶、持ってくる」
「おう、サンキュな」



総悟が居なくなった入れ替わりにトシが入ってきて
無言で座ってクッキーを頬張った




「テメェ、また俺に内緒で何か首つっこんでんだろ」
「ん?してないよ」
「はぁ、




トシに腕を引かれむにっと頬を引っ張られた
バランスの取れなかった俺はそのままトシの腕の中にダイブしたわけで




「ほれはひふ」
「なに言ってんだオメーは」
「ほひははらひてくれれは」
「ハイハイ」
「ほひぃいい」



俺の顔がバカ面になる!
離してぇえ!




「なァ、
「むう、ちょお痛い…」
「覚えてるか?」
「え、覚えてるよ…?昨日トシが俺の大事な大事な梅干しをマヨネーズつけて食ったのみたよ」

「それはゴメン、ちげえよ!!」
「あ?」
「お前に会った時、」
「総悟が犬ひろったっつってたな、俺犬かーって思ったけど」
「そうだったな、チゲーよその後」



「あー、トシに飯奢ってもらったな」
「その時の約束、覚えてるか」


「ーーー、なに約束破るとでも思った?」
「ああ」





顔色を変えずにトシが言うもんだから呆れた、と今度はトシの頬をつまんだ





「破らないよ」
「…ははへ」




「俺は、近藤さんを意地でも守る」
「…」
「それが俺とトシの約束」




笑顔で言えば、わかってんのかよと引きはがされる




「大丈夫だよ、心配ない…俺は俺の大事な江戸を守るっつーもう一つの大義があんの」
「お前もその江戸の一部だろ」
「大丈夫、俺の背中はトシが居るから」

「俺も居るでさァ」
「うごぁ!?」




総悟のかかと落としがトシに決まり、お茶を差し出される




「ッチ、先越された」
「なんだ、総悟も心配してくれたの?」
兄はわかりやすいでさァ」
「善処しなきゃな」

「んにゃ」
「?」
「そういうところがないと、兄の背中は守れない」
「おお、頼もしいな…総悟」



兄は俺が命かけて守るでさァ」
「嬉しいな、頼もしい弟が傍に居んのわ」








覚えていてくれましたか
(あと、ソバの値段分、トシに奉公する、だろ?)
(あと300回な)
(アハハ)

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