剣を抜いたときに白夜叉の声が聞こえた気がした



ーーーー なんで、なんでばっかり!なんで俺らばっかり!




師匠の声が聞きたくなった
だから、剣は抜きたくない




斬りおとした腕を横目にそろそろ剣、研がないとなんて悠長なことを考える
飛んできた針を翻して避けてそのままお返しと懐に入れていた煙幕を投げつける




煙ごと斬る相手に逃げるように木の上に行けば




「忍びのようだな」
「センセーの弟子はなんでもできなきゃ」
「…」


「お前がここまで関わる必要ない、そこまで鬼道丸を江戸から出したくないか」
「…」




一気に詰め寄ってきた朧に後退した木に重心を置いて飛びかかる
キィンッと刃のぶつかる音を聞きながら彼の左手が懐に忍んだのを見て弾き返した




「ぁ」





弾き返した時に左手のクナイが自分の服を破る
その際に飛び散ったドッキリマンシール




ぱさぱさ、
地面に手をついてそれを拾い集める




もう上には朧の気配がなかった





「ッ、仕事が終わったから…居なくなったのか?」





そう考えたら焦った
急いで馬車の方へ走れば目の前にトシの背中が見えて驚いた




「とし」
「…、何してんだお前」

「ーーーそれより…「兄ィイイ!」
兄!助けて、兄!!」
「先生が…!」




子供たちが俺にドンッと突進してきて
唖然と前を向く




血まみれの誰かが真選組に運ばれている
あ、道信さんだ




「嘘」
「嘘じゃねえでさァ」
「…」
兄も、怪我してる」
「道信さん」




膝の力が抜け、泣きわめく子供たちにもみくちゃにされた




「先生」
「せんせぇえええ!」






―――― 先生!
ーーーー せんせえ!!離せ、せんせぇ!
ーーーー 嫌だ、ッ!動いて…先生を助けて!!








-----
--------------------
--------------------------

---
--








「小太郎」




ポンッと頭に重みを感じ下を向いたまま返事をする




「この様な場所で何をボケッとしている、そのような制服で」
「ん、どうしようと思って」




手には複数のシールを握りしめてて
それをゴソゴソと動かす





「仇討か?」
「うん、そう」


「そこに落ちているのは、仇討した奴らか」
「うん、煉獄のヤツラ」
「殺して良かったのか」


「マズイね」
「また、お前は…」
「小太郎もここに居ちゃ危ないよ」
「そうだな、お巡りさんが目の前に居るしな」


「おー、逮捕しちゃうぞ」
「覇気がない」
「あーあ」



小太郎が俺の頭をくしゃくしゃっと撫ぜてそのまま歩みを進めた




「アホなのは昔も今もっ…ということか」
「迷惑、かけたなってな」



「でもやらないと、自分が自分じゃ、無くなる…そうだろ?」
「ーーー、そうだよ」




立ち上がった俺にどこいくんだ?と小太郎が腕を握る
それをゆったりと離して







「天導衆」






いつか会えなくなりますか
(その時まで守りたいと思うのはエゴでしょうか)


もどる つぎに
一覧に戻る