「で」
「で?」
「負けたぁぁぁぁぁあ、」
腰に巻きつくサトシ
俺より全然大きいので重たいです
「ごめんねー、…ちょおっとコイツへこんじゃってるから」
「あ、大丈夫やで、カスミさんもゆっくり休んどってください」
「ほんと可愛いわあ!ねえ、っていくつなのー?」
「9歳です」
「うわー!かわいいー!」
抱きしめられるとカスミさんからは潮のいい香りがする
あと少しひんやりきもちええ
「みんな、ごはんできたぞー」
「おー!タケシの飯!!」
「わー、お腹すいちゃってたのよー!」
元気が急に出たサトシに苦笑しつつ後ろの気配に振り返る
『眠い―、あいつら誰?』
『見慣れない顔ですね』
「サトシにカスミ、タケシやで、グリーンのお友達やって」
『ふーん、つか鳥くせえ、』
『またグリーンのピジョットですね。煩わしい』
「仲悪いん?」
『いえ、仲が良すぎてつっつきあいする程度ですよ』
『え、お前ちょう喧嘩売ってた、ゲフッ』
『黙りなさい、子犬』
『あ?』
「ー」
「あ、サトシ」
「ん?ガーディとピジョン?のポケモン?」
「そうやでーガーディがロキでピジョンがトキっちゅーねん」
「へえ!ロキ、トキ、俺サトシ。よろしくな」
「ガウ!」「クルー」
「俺も前はピジョット持ってたんだ」
「へえ、前?」
「うん、ある理由で手放しちゃったけど…あいつがそう望んだから」
「さよか…ほな、ピジョットはそれで幸せなんな」
「そうだといいけどな、ほらポケモンの言葉って伝わるけど…完全にわかるわけじゃないだろ」
「せやな」
「だから、時々…こいつらの幸せがこれであってるかわからなくなる」
「そないなことはしゃーないやろ」
「?」
「ポケモンやって人間のゆうことは時々わからへんことがあんねん」
「うん」
「おあいこや」
ロキが俺の膝の上であくびをする
その様子はかわいらしい
ちぃっと寝すぎたんやな、頭ボーッとしとる
『、散歩いかねー?』
「もー夜やから」
「なんかってまじでポケモンと会話できてるみたいだな」
「え?」
サトシはピカチュウを自分の腕の中に入れてみつめる
「こーやってされるのピカチュウ喜んでると思う?」
「破顔しとるでピカチュウ」
『サトシー!甘えたなのー?』
ゴロゴロと喉を鳴らすようにピカチュウの耳が嬉しそうに揺れる
「サトシ!散歩いこか!」
「え、でももう暗いぜ?」
「だいじょーぶやって!少しくらいならバレへんバレへん!」
『おい、!俺もつれてけー』
『私も行きましょう』
「うん、じゃあ二人ともおいでー」
『僕もいくよ!』
「じゃあ、四人でいこーなあ」
「!」
「今日は星がキレイやで」
あの子が喜ぶわ
「ん?」
あの子って誰や…?
「わあ!すげえキレイ!」
「ここ穴場なんよー、サンドの群れが教えてくれたん」
「へー、いあいぎりしないといけないところか、確かに普通じゃこれないな!」
「サトシ」
「ん?」
「さっき、ピカチュウは喜んでるかわからへんゆうとったやろ?」
「うん」
「よろこんどるよ」
「え」
『僕の言ってること、わかるの?』
「そやで、わかるんや」
「?」
『すごいすごい!じゃあ、伝えて欲しい!サトシに、さっきの試合もっと頑張れなくてごめんねって!』
「…偉いなあ、ピカチュウ」
「?」
「ピカチュウがゆうとるのはさっきの試合もっと頑張れなくてごめんねって」
「へっ、あの時いたっけ?」
「んーん、倒れたポケモンの看護しとったから、ピカチュウが戦ってたことはしらへんよ」
「じゃあ」
『あと、この間のクコの実食べたの僕だよ』
「クコの実?」
「え、あ!やっぱピカチュウだったのか!…って、え」
「ポケモンの言葉がはっきりわかんねん、俺」
そうやっては悲しそうに笑った
あまりに切ない顔だったから
俺も何も言えなくてを見つめる
「グルゥ」
「じゃあ、ロキが何言ってるかも?」
「わかるで」
「…す」
「すごいすごい!!」
思わず立ち上がった俺にとロキが目をぱちくりと合わせる
以心伝心までできるなんてすごい!
「すげーな!いいなあ!俺もポケモンと会話してえ!」
「ほ、ほんまに?気持ち悪くないん?」
「気持ち悪いわけないじゃん!凄いぜ!」
「―――っ」
『まあサトシならそういうと思った』
『私もこういうタイプはまだ子供なのであまり深く考えないだろうなと』
『サトシは僕らと会話してるもどうぜんだけどね』
3匹が見守るなか俺のことを歓喜のあまりに抱きしめるサトシに嬉しく思った
「ちなみにさっきのリザードンはやる気を示してないっちゅうか呆れてたんかな?」
「えっ!そうなのかよ!あんなに頑張ってくれてたのに」
「親がわりみたいやなあ」
その様子がかわいらしくてピカチュウを抱き上げて暫くその様子を見る
ああ、やっぱり俺のことをちゃんと理解してくれる人っておるんやな
『ぼくらの祈り子、まだ僕らの存在に気が付かないで』
「え」
『なに、今の』
ピッカアと声をだすピカチュウ
2人で顔を見合わせて空を見上げた
「あ」
「ピ」
「こらぁあああああああああ!」
上空に見えるのはピジョット
「!!なに夜に散歩してんだまた!!」
「だって、夜空キレイやったもん」
「だったら俺も連れてけ!」
「えー、今回はサトシと内緒話やさかい」
「あ"?」
「え」
「グリーンはあかんねんで」
「ッ」
「〜〜〜、サートシくーん?」
「は、はい」
「帰ろうか」
「痛い!痛いです!グリーンさんんんん!肩食い込んでます!!」
「ピーカァ」
「ガウ」
「クルー」
3匹の呆れたような声が夜に響いた
まえに つぎに
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