02,その人はまるで陽だまりでした






「…んっ」
「これは、毒薬が作れんねや、護身用に作っといたる」
「ほんとですか!?凄いですね、さん」
「そないなことない、やってればわかるもんやで、伏木蔵…これええ香する花の袋」



懐にいれといたる
頭半分でそんな会話がぼんやりと聞こえてくる
なんだかそれがとっても暖かくてもう少しこのままでもいいかななんて思ってしまった



「学園長せんせーはなんておっしゃったのですか?」

「うん、俺のことは護衛忍者として雇ってくれるらしいで」



ガバッ!!


「「あ、伊作せんぱーい!」」
「おお、起きたか…熱はどうや?手持ちの解毒剤やったからちょいっと熱の副作用強かったかな」
「あ、もう…体が嘘のように…じゃなくて!あなた、誰ですか?」

さんで〜す」
さん?ッ!そういえば私たちどうやって帰ったんだい?」




あの強い忍者に追われていた
不覚にも意識を途中で失ってたわけだけど




さんが助けてくださったんです」
「そうだったんですか」
「伊作くん、がんばったなあ…全部2人から聞いたで」
「え」
「なあ、ほんま良い先輩もったっちゅーことや」




乱太郎と伏木蔵の頭を撫でるさんは慈悲に満ちた目で彼らを見ていた
なんだろうこの感じは、切ないけど




「甘い」
「ああ、そういえば伊作君…薬草の採取の途中やったらしいなあ」
「はい、でも逃げてる途中で捨ててきちゃって…」
「今度クスリを作ろう思うてて薬草採りに行きたいんやけど…伊作君」
「えっ」

「一緒に行ってほしいんや」




ふんわりと微笑むさんに胸のあたりが苦しくなった
なんでかはわからないけどさんが敬わしい感じが一気に迫り上げたのは間違っていなかった




「はいっ、ぜひ」





こんなにも単純に人に惹かれることができるんだなと




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