「うぅう、ううう」
「…」
目いっぱいに広がるぼやけた青色と鳴き声
ぽかんっとそれを見てるとぶわっとみんなが…は組の子たちが涙を浮かべる
「さぁあああああああああああああああああああああ」
「えっどっわ!ごふ!」
「無事だったぁああ!」
「飛び出してごめんなさいぃいい!」
「もう心配かけさせないからあ!」
「しんじゃいやだよぉお!」
喋る間もなくしんべヱが顔に張り付いてくる
ぷにっぷにな感触にもうええかと悟ったあたりで障子が開いた
「こらこら、みんな…!さんは病人なんだからあまり無理させちゃだめだよ」
「伊作くん」
「乱太郎から連絡受けました、無事でよかったです」
起き上がってしんべヱを後ろから抱き込むとわらわらとは組の子たちが俺に張り付いてくる
腕を上げられ俺も俺もときり丸が太ももに座ってきたときは死ぬほど嬉しかった
「失血でしたよ。本当…びっくりさせないでください」
「毒盛られたさかい…血液ごと出してまえと思うてな!」
「元気よく言うことじゃないですよ」
ほら、脱いでください!と言われ半身を脱ぐと後ろに張り付いていた兵太夫がわあ、と感嘆を漏らした
「凄い傷…、痛かったんじゃないですか?」
「んあ?男の勲章や。痛くもあらへんで」
「さんあったかーい!」
「おお、しんべヱは甘えたやなあ!」
胸に抱き着いてくるしんべヱを抱き留める
それに僕もー!と虎若や団臓もくる
おーおー、小動物パラダイスやな
「もー、きみたち…さんのこと治療できないじゃないか」
「ええって、きっと罪悪感あったんやろ…この子たちの心配の最大級やな」
「私たちも心配しましたよ。」
「…たち?」
「さっくーん、薬草摘んできたよー」
「伊作、解毒剤を煎じてみたんだが、さんが目を覚ましたら…」
「…っ、文次郎、急に立ち止まらないでくれないか…邪魔だ」
「なんだと!?」
「お前ら静かにしないとさん起きちゃうだろーって…さん起きたんですか?」
「おー、留三郎…おかげさまでな」
ニカッと笑えばまだ止まっている潮江君がビクリと肩を揺らし硬直する
それを邪魔そうに立花君が俺の前に座る
「…けがは、無事か?」
「うん、そないにきつくはやられてへんから大丈夫やで」
「…私たちは貴方を疑っていた」
その言葉には組のみんなの抱き着く力がこもる
ジッと立花くんを見つめる庄左ヱ門
それに大丈夫だとしんべヱが微笑みをかけた
「今回のことで目が覚めた…疑って申し訳ありませんでした」
「俺も、やっぱり後輩のこと心配だったし…疑ってた…悪い」
「…すまない」
「私は最初から信用してたぞ!」
「さん?」
伊作くんが呼ぶ声にハッと顔を上げる
まだ視界は閃光のおかげでぼやけてて見難いけど
さっきよりも見辛くなってた
「さん」
「…、さぁん…死んじゃわなくてよかったよぉ」
きり丸の声、喜三太の声に目を瞑ると何かが零れ落ちた
まわりの六年生が静かになっていたのはは組のみんなが俺をわいわいと心配するから気付けなかった
「…私もまぜてー!」
「「「「いかせるか!!」」」」
「…もそ」
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