「さん、口吸いをしよう」
「御遠慮させていただくわ、小平太」
ちゅーと顔を近づけてきた小平太の顔面に手をかざす
そしたらどんどーんっ!と言われて抱きしめられる
「やめへんかぁああ!化粧とれてまうやろおお!」
「何で女装してるんだ?私の好みだ!」
「そう純真な顔で言われるとお兄さんちょっと罪悪感あるなあ」
「しかし、小平太の質問はわかる…なぜ、女装をしている?おつかいか?」
「仙蔵くん」
縁側に現れた仙蔵くんも小平太とは逆の位置に座る
「午後からは組の女装の授業なんよー、山田先生が忙しくて出れへんから俺にーって主人がゆってたんや」
「学園長先生が?」
「せや、やから女装久々にやってるんやけど」
「は金色がよく映えるな、とてもキレイだ」
「…おおきに」
「小平太が口説いてくる…そういう訳か」
「どういうこっちゃねん」
「美しすぎるのも問題だ…と言ってるんだ」
「…この天然タラシ」
ニヤリと笑った仙蔵くんはまあ頑張ってと言って去って行ってしまった
小平太も授業があるから、と去って行った
「ということで、このなんも変哲のない布を高価なものと交換できたものは課題は成功とする」
「はいセンセー!」
「なんだ、きり丸」
「伝子さんは何と交換できたんすかー!」
「…」
俺の隣に立つ土井先生が渋い顔をして横目で反らす
「…大豆だ」
「(だっ、大豆ッ!!)」
笑いそうになる口を袖で隠し土井先生の背後に隠れる
は組はお構いなしに爆笑するのに土井先生が拳骨をお見舞いした
「さーて、ほんなら俺が見本と行きましょか」
「、あまり派手にやってくれるなよ…」
「まかせとき!」
布を手にして表通りに出る
すぐに見つけた品のよさそうな武家の若い者に声をかける
「そこのお兄はん」
「なんだ、町娘がこの私を引き留めるとは」
「すんません、田舎から上京してきたものですから、…あの」
「…なんだ」
「私、雇い主様に…この布を渡されて…でも渡されただけでどうしたらいいかわからなくて」
「渡されただけ?」
「ええ、こういうのってどうしたらいいかわかりますか?」
「単純に売りさばけばいいだろう、見たところあまりよさそうなものではないが…」
「えっ、そうなんですか…!」
どうしよう、涙目になれば男の人が一瞬焦ったような雰囲気が出る
「最初ならば仕方ない…泣くな」
パッと上を向いて目を合わせる
眉を下げて唇を少し開けて
「もし、よかったら助けてくれないでしょうか」
「っー!!」
落ちたな、そう思えば簡単…小刀を出してくれて布をひったくられる
おー、ちょろいちょろい
「次に見かけたときにわかるようにその小刀は護身していろ」
「…ありがとうございます」
去って行ったお侍さん後ろを向けば感動したようには組の良い子たちが俺を見ていた
あと、驚いて顔を真っ赤にしている土井先生
「(土井先生なんであんな顔赤いんや?)」
「(土井先生惚れたな)」
「(土井先生ってわかりやすい)」
「(さんめっちゃ色っぺー!)」
「(ぼく、お団子と交換してもらいたいなあ)」
は組もそれぞれ沢山考えているようでした
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