17,戦争実習



だっ」
「ほんとだ、ー」
さん!」



「お前ら俺のこと年上って思うてないやろ」





日も傾いてきたころ
時々上級生は忍びの仕事をしにでかけることがある
今日は五年全員で行くようだ




「なんや大変やなあ…今日も密書取りに行くんか?」
「ええ、城にどれだけの予算があるかを調べるために」
「予算書かいな」




勘右衛門が万力鎖を懐に忍ばせながら言うと八左ヱ門がオオカミを連れてくる




「今回は城の守りが薄い…案外簡単に入れそうだ」
「それで、山犬でおびき寄せるってことね」




三郎が口元を忍び服で隠しヒラリと森に消える
それを追うように八左ヱ門も外を飛び出しオオカミもそれを追う





「じゃあ、兵助と僕で密書を捕りに行く」
「全体の管轄は任せて」




3人が頷き合いスッと姿を消した
気配が消えたその場に降り立ち空を見上げた




「今日は満月やなあ」
くん、そんなところで何してるの?」
「んー、なんでもあらへん」





嫌な予感というものは当たりやすい
ピーッと口笛を吹き、オオカミだけに聞こえる声を届けた














「っ、尾浜は帰ってきたか」
「三郎、喋るな…傷に触るぞ」
「これくらいどうってことない!!雷蔵と兵助がまだ後方で戦っているんだ!!」




私としたことがとてつもない失態だ
城は手薄で逆に警戒したのが間違いだったのかもしれない

密書を取り全員で帰園していたところに突然の光
ビクリと体を止まらせた瞬間クナイや戦輪が飛んできた
咄嗟に私たちの前に並んだ山犬が助けてくれたがそれだけでは間に合わない


このまま学園に帰るわけにもいかないと、尾浜が囮になり4人で走る
密書を持った雷蔵が、それを私に渡し早く行けと声を張る




「雷蔵!!」
「バカかお前、兵助…雷蔵頼んだぞ!!」




キィィンンッとクナイをはじく音に目を張ると肩をクナイが貫く
舌打ちをすれば竹谷が前に出て俺の肩を持つ





「急ぐぞ、」
「…まさかこんな実習になるとわな」





初めての経験で少し足が震えていたから
目の前の気配にも気付けなかったんだ




「…っ〜〜!!さぶろ!!」





聞こえた尾浜の声で顔を上げる
竹谷は蹴りを入れられ私はその場で首を片手だけで掴まれ上に掲げられた




「ッ、ぐ」
「密書は返してもらう」





巻物を懐から取り上げられ私が声を漏らすが相手はニヤリと笑ってクナイを出す






「楽に殺してやるよ」
「っ!?」



「三郎!」
「鉢屋ぁああ!!」






クナイが目の前を射る
ダメだ、と目を瞑った瞬間


体が宙に浮き誰かに包まれた






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