18,怯える背中を守るのは




「三郎!!!」



三郎に僕と兵助が追いついたときは既に遅かった
巻物は取られ三郎がクナイを振りかざされているところだった


あまりな悲痛な光景に彼の名前を叫んで飛び出す
けど、それは一瞬で余計なことになってしまった




「うちの、生徒に何さらしとんねん」





三郎を俵担ぎし、相手の顔面に蹴りを入れる
彼の…さんの登場に風が吹き頬を撫ぜる




…!?」
「ッ、なぜ貴様がここに!!!」





三郎も驚いたのか足をばたつかせる







「さぶろ、重い……」
「なっにしてんだ!!私を降ろせ!」
「なにゆうとんねん!投げたるわボケェ!!…へーすけ!」

「っわ!」




投げられた物は奪われたばかりの巻物で兵助もびっくりしている
せーのっと投げられたのは三郎で竹谷と尾浜のところに降って行った






、ぜってえゆるさねえ!」
「いいからどっか行けお前ら!」





さんが私を見てパチリと片目を瞑る
それにハッとして戦に加わろうとする兵助とブツブツ呪術のように呟く三郎を引っ張って走る






「はぁはぁ、ッはぁ」
「あいつぜってー犯す」
「はいはい、助けてもらって何言ってんの三郎」


「お前死と直面して余裕だよな」
「私があの程度では狼狽えない」



「でも、はやっぱすごい…」
「え?」





巻物を見る兵助の手にもう一つなにか握られている






「!敵忍者の私物?」
「ああ、この家紋は忍んだ城だ…。僕らが忍びにいくことがバレていたのかもしれない」
「だから待ち伏せされたのか」
「そうだと思う」




竹谷がハァとため息を吐き、学園の門を超える






さん、大丈夫かな」
「心配だが、今行ったところでなんの足しにもならない」
「先生に報告するのが先だろう」







「その必要はあらへん」





振り返れば疲れたような顔をしたさんが月明かりで見えた
金色の髪がキラキラと光りとてもキレイに見える





…!」
「無事だったのか…?怪我は…!」




三郎がさんに駆け寄り
兵助がさんの頬などをさわり怪我の有無を見る





「あれは雇われの忍隊やな…なんで家紋があったかはわからへんけど」






カモフラージュやろ、とさんが兵助に抱きすくめられながら答える
うっとおしい、と表情に出すが退かさないさんはやっぱり優しい人だ





「…礼は言わないからな」
「ああ、貸しにしといたるわ」
「なっ!」




去っていくさんがあっ、と声を上げ振り返る






「風呂、入りにいかへん?」






ふにゃりと笑うさんに僕が一番最初に駆けだしてしまった



もどる つぎに
一覧に戻る