20,成長しましたか





さーん」
「ふごふぅ!!」




仕事で学園から帰ってきた瞬間突撃してきたしんべヱを受け止めようと手を開いたが
え、おかしくないやろか
そう思ったときはもう遅い、身長も高くなってたくましいしんべヱが突進してきて




さーん!、あ、遅かったか!」




庄左ヱ門の声を背に意識を離していた






「あ、起きた」
「…ッ!…っ!」




起きたら紺色の髪のイケメンが俺を組み敷いていました
ついでに口も押えられていて大変






「ぎゃー!なにしてるの、団臓くん!」
「いや、おいしそうだったんで…」
「思考も大人になっちゃってない!?」





よいしょ、と俺の横に座るのは
緑色の忍び服の…





「いさ、く?」
「そうだよ」




つい最近タメ口で行こうと言い合った彼で
小さい、団臓と呼ばれた俺の知らない団臓とは違って





「な、なんだこれ。ゆ、夢?」

「夢だけどー!」
「夢じゃなかった〜」




入ってきた髪の長い乱太郎といつもより身長が高い伏木蔵
ちょっとだけ大人びた数馬と左近



「実は、なぜか学年ごと年齢が入れ替わってしまって」
「はあ?」





俺が主人のお使いに行ってる間になにが起こったんや
伊作を膝に乗せとりあえず包帯を作りながら保健委員に経緯を聞く



団臓は追い出した(伏木蔵が)





「伊作の強烈なきっときくだろう薬を、数馬が食堂のおばちゃんに胡椒と間違えて渡しちゃって」
「ほんとうに胡椒だと思ったんですぅ」
「それを学園みんなが食べたと…」





よかった、俺…お使いで






「先生方は大丈夫なん?」
「やはりそこはプロ忍者と忍たまの違いです」
「流石すぎるやろ」




一個一個包帯を数える乱太郎が振り返り苦笑を漏らす





「しかも伊作先輩がこんなに小さいと治る薬を作るのも大変で」
「不運が招いた大参事で」




シュンとした保健委員
皆を見渡して伊作を抱きしめて寝転がる






「なっちゃったもんはしゃーないやろ」
…?」
「俺はおもろいけどなあ、こんな成長した乱太郎が見れて、昔の伊作が見れる」
「…そうですか?」
「…乱太郎は将来こんな優しそうなセンパイになるんやろうなあ、思うて」





寝転がった状態で乱太郎の背中に額をくっつける
ピクリと体を揺らした乱太郎が振り返って意地が悪いですよ顔を赤くしていった






「んあ?」





小さな手で伊作が俺の服を掴み顔を埋める
どうした?と顔を覗けば困ったように伊作が見上げていた





「消えそうだった」
「消えそう?」
「乱太郎の、成長した姿が見れないみたいな言い方だった」




その言葉にフッと笑みが零れ伊作の頭を撫ぜる




「せやな、ごめんごめん…堪忍してや」






忍びの世界っちゅーんはそういうことなんやから
きっと、普段の伊作ならわかるだろうけど、小さくなって心も小さくなってる部分があるんだろう





「やから、堪忍」
さんは居なくなりません、僕がそうさせませんから!!」





そういう乱太郎もまとめて布団に引き寄せた
包帯を置きに行った3人もあとで巻き込んでしまおう
そう考えながら俺は深い眠りについた




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