28,こんにちわ、レディー




「…オオマガトキ城の戦況はかなり劣勢です…、さすがドクササコ…というべきでしょうか」
「ふむ、学園からどのくらいの距離で戦っているか」
「ええ、六年生の実習コースは暫くは延期した方がいいかと…」
「そこまで来ておるのか」


「…迷った兵士に見つからぬように…裏山から学園一帯は霧で囲わさせてもらいました」
「うむ、報告ごくろうじゃった」


「して、主人…」
「ぬ?なんじゃ?」
「…その濃いお茶は誰が」
「儂が可愛い可愛い部下に作ってやっておる、茶じゃ」
「……、」



あ、俺死んだ






「とまあ、戦の情報はこんなもんかな」
「おおきに、」
「…また腰押さえてる…色の仕事増やしているのか?」
「そういうわけやないけど、何かと男娼の方がええ情報くれはるんよ」
「お前は男娼の内でも人気出そうなのに…噂が立たないのは不思議だな」

「そりゃあ、ちょといと… 俺のことは、貴方様と俺の2人の秘め事にしたいのです 
 って言えば楽勝やでー…あれ? どないしたん……… 利吉さん」
「い、いや…実戦でやってくれて…ありがとう…」
「タダなんは利吉さんが初めてや」
「(本当に危ない子だな) あまり無理するのはよくないよ」


枝に座りながら山田先生の息子さん、山田利吉さんと情報交換
良い情報が入るのはやっぱり男娼ばかりで
半助さんには申し訳ないがちまちまあれからも仕事が入る




「最近、学園の不穏者の話を聞かないのは君のおかげ?」
「どないでしょうかねー、最近は戦の流れで学園を見つけて侵入してくる阿呆が居るさかい」
「まあこんなところに学園があれば気になるでしょうね」
「っふふ、せやな。俺がいんくても上級生がいるさかい…」

「ああ、もうプロ忍者同然な六年生ね…」
「うん」



利吉さんと一緒におると甘える兄がいるようでなんでも話したくなる
この学園に来る前からの仲で、よく若とは仲良くしてくれていた




「…ダイチ城の状況は聞いたか?」
「…ええ、さぐっとる…やけど吸収された若たちはまだ殺されたりしとらんらしい」
「なにがしたいんだ、あの城は…」
「あの城は…忍術学園を作りたいんやと思う」

「―――え?」
「現にいろいろな城の忍者を狩る様に城を攻めている」
「確かに…ドクタケ城にも戦をかけるような噂も…」

「…そういうことやから利吉さんも捕らわれんよう気を付けたほうがええ」
「そんな簡単に捕まるわかないだろう」
「現に雑渡毘奈門率いる、タソガレ忍者も狙われてるくらいやから」
「え?無理だろ…」

「やから気を付けたほうがええっちゅーことや」



押すように利吉さんを覗き込む
気を付けるよ、と頭を撫でられる



こそ、狙われているんだろう?」
「…納得いきませんが」
は忍者としても…、―――だからな」



「?」
「かわいいから心配ってこと」
「!!」

「そうだ、
「はっはい!」
「今度、一緒に任務に来てほしいんだ」
「任務?」
「ああ、夫婦のまねごとをしてもらいたい」
「なるほど、ええですよ!」




利吉さんと任務だー!と喜びのあまり頬を緩ませれば利吉さんも笑ってくれる





side利吉



「会えば会うだけ…心配だな」
「??」


忍者なんかやめればいいのに、と思えば
下から土井先生の気配



「利吉くーん、ー!お茶にしよう!」
「あ!半助さんや!わーい!」
「え!?名前…ッ!」



驚く間もなく木から降りた
土井先生に嬉々として近寄ってさっきの学園長の話をしている

それに土井先生も笑っての頭を撫でる
おいおい、私より親密じゃあないか?



木から降りての横に並ぶ
利吉君のお茶もあるよ、といつも通りの土井先生に毒気が抜ける




「(まさかね、)」




というかここ最近は敵が増えてしょうがない
が男だからと言って安心していたけど





さん、豆腐のお菓子が茶うけにありますよ」
「兵助ー、委員会の帰り?」
「ああ、さんとお茶するっていうからついてきた」
「さよか、兵助の新作楽しみやなぁ」
「どーも」



あ、ほら笑った
久々知くんもにべったりだし
既に後ろからギューギュー抱き着いている斉藤タカ丸くんもきっとそうだろう




「おや、火薬委員の人たちとではないか」
「あ、立花先輩だー!」



一年の声があがり作法委員でもあり、優秀と言われる六年生の一部の立花仙蔵くん
彼も相当だと思う
あ、ほらの手を握った



さーん!」
「あ、じゃん」
「なんだー、兵助もいんじゃーん」



出たな…!!口説き五年!!
一番最初に危ない奴と認定した鉢屋三郎始め、腹の底知れぬ五年が集まってくる



「あれ、利吉さんがいる」
「…あのねえ、立花くん…」




絶対気付いてただろ!!
イラッとするが彼らは忍たまだということを忘れてはいけない
自制心を働かせてフーッと息を吐く




さーん!」
さん!」

「宿題おしえてくださーい!」




次に現れたのは自分の可愛さがわかっている様子の一年は組
どたどたと現れる子供たちにもしゃがんで両手を広げて待ち構える始末




「受け止めてー!」
「わあ!しんべヱ!体重増えたかあ?重たなっとるやーん!!」
「グリグリしてくださあい!」
「〜〜〜なんべんでもしたるわ!」




ほらぐりぐりー!!としんべヱの頬擦りをするに唖然と見てしまった
ほかの生徒はまたやってるのかと見つめるものや私もー俺もーと飛び込んでいくやつ
斉藤くんは久々知くんに止められていた




「どうっすか?あの人気」
「彼が学園に来てからと全然違うでしょう?」



私の両サイドに立花君と鉢屋くんがくる



「……どうなろうと彼を渡す気はないよ」



そう自信有りに言えば、鉢屋君はククッと笑い
立花君は自嘲気味に笑う




「「まあ、私も貴方に渡す気はありませんけど」」



ああ、やっぱり彼には忍者をやめてもらいたいな



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