39,晴天戦争




「「「「あー!さーん!!」」」」
「おーおはようさん、元気やな」

「おはようございます」
「――おや?」



黒い忍び服をまとった色白の綺麗な人に挨拶されてもうた
誰?と首を傾げればズズイッと虎若が出てきた



さん!!この間言った!照星さん!!です!!」
「ああ、そういえば言うとったな!」
「照星さん!父ちゃん!前に言ったさん!!!」



です!と虎若が鼻息を荒くする
佐武の頭領が俺の前に現れ、息子からいろいろ聞いていると握手を求められ握手




「若太夫から聞いている、腕の利く忍びだと」
「え?」
「大変頼れる、兄のような存在だと聞いた」


「―――あに」
「これからも頼んだ」



笑みを浮かべた照星さんに頭を撫でられる
思っていた人間と違った



「それ、どういうことや?」
「こういうことだ」




またポンポンッと頭を叩かれ照星さんが戦前の方に向かった
さんもー!とは組に引かれ戦前に向かうけど




「待て待て待て、お前らははよターコちゃんに潜っときい」
「大丈夫ですよ」

「三木ヱ門」




望遠鏡を持ち現れた三木ヱ門が俺にそれを手渡す
それで向こう側を見れば慌ただしく動く姿




「―――、見たでしょう?あの距離では届きません」
「「…いや、届く」」




隣に居た照星さんとの声がかぶりハッと互い見合わせる





「必ず、この園田村に注がれる」
「ああ、間違いあらへんな」


「なんで「くるぞ!!!」





三木ヱ門の納得いかない…!という発言を遮り言葉を発すれば全員がハッと向こう側の敵軍を見る
大きな音が響き黒い塊が飛び交う




「全員伏せろー!」




半助さんの声が響き全員が塹壕に入る




「三木ヱ門!」
「――届かないはずなのに…えッ?!」





草間をバウンドした大砲が園田村の家屋を突っ切る





「なっ!?」
「――どくんだ、田村三木ヱ門」





照星さんが三木ヱ門の腕を引き塹壕に放り込む
驚いた表情を見せた三木ヱ門に照星さんが忍術学園はどうしてこうもじゃじゃ馬なんだと息を吐いた





「ひぃっ!」
「―――、ろ組は塹壕にはいってないんか!」




怪士丸の悲鳴が聞こえそこまでいけば、平太がさぁ〜んと抱き着いてきた



「おまっ…、ほらこっちこい」



ろ組の背中を押し土を盛った影に隠れさせる
またひぃいい!と声が聞こえ、見やれば今度はい組だ




「―――っ!伝七!!伏せろ!!」
「え?」




俺の声に振り返った伝七が立ち止まる
バカ!と叫ぶがそれも遅い、駆け出した俺は伝七を抱きしめスライディングをしながら竹の陰に滑り込んだ



「ハァッッ、はぁ…」
さん…?」
「――、ッぁ?ああ、怪我あらへんか?伝七」
「はっはい!」


「さよか」




い組がその竹に集まってきて、伝七ー!と抱き着く
そんない組の頭をグリグリッと撫ででまだ響く砲台の方へ向かった







「照星さん」
「―――、ああ、砲台が熱くなったんだろう。暫くは攻撃は来ない」
「やったらさっさと、水田を…むぐぅっ」


「若太夫、バウンドをさせなくするにはどうしたらいいと思う?」
「―――え?」
「むぐっ!?、もーもー!」




えええええ!?そんなことゆうてる暇やないやろ!
照星さんの腕を掴み反論するが、チラッと視線を向けられただけ


うーんと悩む虎若




「、っぷはあ!照星さん!苦しいやないか!」
「余計な口出しは無用だ」
「…冷たいな」


「それより、忍び服から血がにじんでいる…黒でもわかるくらいだ」
「…!」
「かなりの重傷…じゃあないか?」
「…平気です」
「しびれ薬を飲んでいるのか、感覚をマヒさせてそこまでしなくても、彼らは大丈夫だと思うが」
「――、大丈夫でも俺は守るって決めたんや、主人の前で、全員を」
「死ぬかもしれない、失血で」




「その時は、その時や」




体が動かなくなるまで、動きたい
そう思えたのも、そうさせるのも





さんっ!さっきはありがとうございました!」
さん!」


もどる つぎに
一覧に戻る