「行く気がない?」
「当然だ、今の私の主人は大地場風見」
「…」
対立し始めた先輩と
ここは城の下(綾部喜八郎が掘ったらしい)
だからばれることは滅多ないだろうから存分に言い合えばいいと思うが
まさか、戻りたいという意見だとは思ってなかった
「貴様は、融通の効かぬ奴だな!!どれだけの人間が心配してると思ってるんだ!」
「そんなんじゃない、私は…、戻らなくてはいけない…!お前らを…」
「ーー…(そういえば)」
ふと、さっきまで共にいた雷蔵の言葉が思い浮かぶ
(さんってね、標準語になるときがあるんだよ。)
(なんでだ?)
(なにかを拒絶している時はずっと標準語なんだって、)
(拒絶、ねえ)
そんなことを思い出して会話に集中すれば
立花先輩がグッとの腕を握る
「何が何でも、もうお前の苦しむところは私もみたくはない!!」
「ッ!」
「なぜそうやって独りで抱える、考える、行動する!!私たちを頼ってみないのか!?そんなに足手まといなのか!?」
「ーー、ぅ」
「…なんだ」
「違う、そんなわけない!!いつだってお前らは傍に居た!!私の唯一の在るべき理由がある場所で!!」
「ーーーー、」
「それを壊されることがどれだけ怖いか、お前にはわからない!私はもうあんな思いは二度としたくないんだ!!」
「…」
訛りの一切ない叫びに立ち止まっていた足が動く
鉢屋、と立花先輩の声を大丈夫ですと止めに向き合う
「なら、私たちが守ろう」
「ーーッ」
「お前が守れなかったのなら、私が守る。絶対に、の怖いものは無くす、のあんな思いというのは二度とさせない」
だから
「だから、全部全部…私に言え、私たちを頼ってみろ」
「ーーーさぶ、ろう」
「最初から私は言っているだろう、の苦しむとこなど見たくない」
「せんぞ」
「わかれ、」
目を見開いたが下を向いたと思えばバッとすぐに顔を上げ
私の腕を左手で、立花先輩の腕を右手で掴んだ
「ーーーすけて」
ポツリと呟いた声
ああ、やっと言ったかと頬を緩め、どうした?と立花先輩が優しくに聞いた
「助けて」
小さな声が周りに響く
立花先輩を顔を見合わせ、当然だと頭を撫でればくしゃくしゃに顔が歪んだ
「ほんまはずっと一緒に居たいんや、朝には組とごはん食べて」
昼は外を眺めながらジュンコとおしゃべりして
たまに授業参加して、
迷子の誰かを探したり、勘右衛門と甘味どころに行く約束もしてて
きり丸のバイトも手伝うんや
あと、伊作と薬草も採りに行って、喜八郎と昼寝して
「全部全部全部!!」
当たり前の日常になってた
「」
「、わかった。私たちに任せろ」
「お前の嫌いなものは全部消し去ってしまおう」
「ッ!」
バッと顔を上げたの腕をとり、抱き上げる
それに驚いたを見て満足し立花先輩を見る
「この先は城外だ、先に行け…私はみんなを呼び戻そう」
「お願いします」
「仙蔵!」
「なんだ」
「怒鳴って…堪忍」
「構わない…お前が戻ってくればな」
「ーーーッ」
首元に水滴が落ちてきたのは感じなかったことにしよう
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