49,幕閉じ

態は一変して大地場の死と共に幕を閉じた
タソガレドキの旗が大きく上がり、先生方はの救護とその場の収集

利吉さんは難しい顔をしてに付き添って行った




「あ?」
さん、大丈夫かな」
「……、」
「死ぬのかな」
「…兵助!」
「――、死んでほしく…ないな」

「!」



ぼやっと発言すればハッとした顔の八
その瞬間うるりと表情をゆがませ、腕で顔を隠し始めた



「くぅ〜ん」




オオカミが八を慰めるようにわらわらと寄ってくる
おれ、と小さく八が呟くのを見る




さんとまだやりたいことあんだ」
「うん」
「オオカミと走り回ったり」
「うん」
「毒虫の育て方研究したり」
「うん」
「補修の手伝いだってしてもらおうと思ってた」

「うん」




さん、さん!」





死なないで…!!!
そう叫んだ八に周りの木々がざわついた

明ける夜の空を見て





「―――、早く帰ってきてよ…」







ザッザッ
木々をかき分ける音がいつもより早く聞こえる



の怪我は、どうなっているんですか?!」

「脇腹の古傷が運悪く抉られてあんなに血が噴き出しただけです」



を支える利吉くんがバカですよこいつは、と悪態を吐く




は前に立花君をかばって脇腹に大きな負傷を負っているんです
 鉢屋君が裂いたのは服と忍たまの友とその脇腹の傷」

「忍たまの友…?」




投げかけた質問にスッと利吉くんがの懐からざっくり切れた忍たまの友を取り出す




「どうして忍たまの友を…」
「以前、小松田君にもらったと喜んでいました」
「ずっと、持っていたのか」


「アホですね」
「ええ、先生方には早く知らせた方がいいでしょう」
「――、あと鉢屋君にもすぐに知らせましょう」

「鉢屋三郎に?」
「ええ、凄く心配してらっしゃるでしょうし」




きっと自分のしたことを悔いいてるだろうし
少しだけペースを速めた利吉くん
そうだな、と私も呟けば




「私達も大概、コイツに侵食されているということですね」
「―――、本当にな」





お前が居ないとこうもダメなんだと
起きたら耳にタコができるまで話してやろうと思う










「三郎」
「――、なんだお前ら」



なんだこのしめりっけのある部屋は
山村喜三太のナメクジまでもが蔓延るそこに足を一番に踏み入れたのは勘右衛門だった




ガッ!!
骨と骨がぶつかり合う音
座っていた三郎に思い切り拳を振るう勘右衛門があー!スッキリした!と叫んだ

頬を押さえ目を勘右衛門に向けた三郎がハッと息を吐く




「笑いに来たのか、私を」
「――バカじゃない、お前?」





スパッと言い切り勘右衛門に雷蔵がギョッとして勘右衛門に何かを言おうとする
それを兵助が手で制して雷蔵を止める





「お前を笑ってもさんの怪我は治らない」
「じゃあなぜ来た」
「お前がいつまでもぐずぐずとしているからだよグズ」
「ッ」




ガタリと三郎が立ち上がり勘右衛門に掴みかかる





「私はアイツに爪を立てた!」
「…」
「これがどれほどの裏切りかわかるか!!」




身を挺してまでも私たちを救ってきたアイツを一撃で…この手が!!
三郎が必死に喋るのを無表情で聞く勘右衛門





「でも、それは三郎のせいじゃない」
「私のせいだ!」
さんはお前に罪をなすりつけたりしない…!!」




勘右衛門も三郎と同様に胸ぐらを掴み怒鳴る




「ねえ…三郎」
「…」
さん、僕たちのところに戻ってきたらいつも通りだったんだよ…?
 いつもと違う喋り方じゃなくてさんのところの言葉、喋ってたんだよ」




これの意味わかるかな
雷蔵の声が若干震えたのもわかる

さんが俺らに放つ言葉は全部優しかったから
だから、あの時の視線と言葉は本当に怖くて



「三郎、お前が辛いのはわかる。俺だってあんなことになったら自分を責める、自害だって考える
 けど、さんはそんなこと望んでいないから」





兵助の言葉に三郎がバッと勘右衛門の服を離す




「――――、私が救えたらと、思っていたんだ!アイツを!
 けど、断ち切ったのは私だ救えないまま…を」




「せんぱぁあああああああああああああああい!」





大きな音がどたばたと足音と一緒に響き渡る
なんだなんだと障子を開けば一年は組の三治郎と庄左ヱ門、伊助やきり丸が息を切らしてこちらを向いた




「やっと見つけ…た」
「ぜぇぜぇ、庄ちゃん早ぇえ」


「伊助、大丈夫か?どうした…」
「久々知兵助先輩」


「お前もどうした…三治郎」
「竹谷先輩…!!きっ聞いてください!さんが…!」



「え?」





がどうした、と全員の空気が変わる









「「「さんが目を覚ましましたぁああああああああ!」」」」




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