あの忍者が来てから2日
物凄い視線を感じます
「すみません、皆さんの殺気だと気付いて不審度が上がってるだけなんです」
「ああ、かまへんよ。士気があがるっちゅーもんや」
「凄いプラス思考ですね」
包帯を巻くのを手伝っていても感じるその視線の数に伊作くんも苦笑い
優しいなあこの子…この子は疑わへんのやろうか
「伊作くんももうちょっと警戒心が必要と思うんやけどな」
「命の恩人を警戒してどうするんですか」
「それもそうやな」
「私はあなたを疑いません」
「うーん、まあ一人くらいは信頼してもらわへんと流石にかなわへんしなぁ」
「私だけじゃなくて保健委員会は少なくとも信頼しています」
「ふーむ」
優しい子ばっか集まってるんやな、きっと
入ってきた乱太郎に6年生が怖くて近寄りにくかったですよーと言われてまた心配の息を吐いたのは無理もない
「なんだ、どいつもこいつも…薄情なやつらだ……ん?」
同室の善法寺伊作の作るクスリによって眠れなくなった俺は例によって部屋を彷徨っていた
廊下から見える誰かの気配に上を向く
さんだ
学園長から伝わった学園護衛の人物
「(夜も護衛か?)」
特に5・6年の一部から警戒を持たれている彼は俺の存在に気付かないのか
木の上でぼーっと空を見ている
先日寝ている時に強烈な殺気が届いたのは彼の仕業
そう仙蔵が言っていてあっさりと肯定したさんに六年の伊作以外が思わず殺気立ったくらいだ
それ以来は暇があれば監視しているわけだけど
「(俺の気配に気づかないなんて本当に大丈夫なのか)」
「気付いてるに決まってるやろ」
「だよな、さすがに………どw、むぐっ!」
「しー、もう夜も深いんや、声…小さくな」
突然目の前に現れた彼に口を押さえつけられ目をこれまでかと開く
「食満くん。」
「なんで俺の…」
「護衛するっちゅーんや全員の名前と顔一致させとかなな」
「この短期間でですか?」
「まぁ」
「…」
「で?食満くんはどないしてんその布団」
「ああ、伊作が部屋で薬を煎じ初めて…」
「あーそりゃ寝れへんな…俺の部屋で休んどき…今俺も外におるからだれもおれへんよ」
「え?それは…」
「…警戒せんでも、自分の寝るところにカラクリは仕掛けへんよ」
「そうですか…じゃあ、お言葉に甘えて」
「うん、ぐっすりおやすみー」
さんに与えられた部屋に入れば殺風景にもほどかあるというか
布団しかない。襖をあけても何もない
他にあるとすれば服くらいだろう
「あいつ、寝ないんだな」
敷いた布団に横になり少し開けた襖から彼が居る木の上を見る
相変わらず木々の向こうの夜空を見ていた
「…」
[寝れないの?]
「!」
矢羽音だ…木を見ると顔だけこちらに向け見ていた
なんだか見ていた自分が恥ずかしくなって顔を布団で隠して寝る体制
[おやすみ、食満くん]
優しい声に現から手を離した
「今日も、月が明るいなあ」
遠くでクナイがぶつかり合う音を聞きながら木の上で目を閉じた
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