「やっ、やめろお前たち!」
「すみませんごめんなさいでも僕さんの方が好きなんです!」
「ッ!どういうことだ!!」
彼の名前が出てきて一瞬怯んだが兵太夫の作った絡繰りを避け
ナメクジサバイバルを潜り
天井裏に潜り込んだ
「ッはぁ」
どこから降りようかな、と屋根裏を詮索する
ここらへんは…医務室の近く…
別に、どうこうしようとではない
ただ…様子を見たいだけなんだ
「残党?」
の声が聞こえ、屋根裏を進んでいた足を止める
耳を澄ませば、の殺気がブワッと広がった
「お前がここに居る理由はそれか」
「―――、――」
「…、俺だけに被害が及ぶならそれでいい、ただ…」
「…――ーー!」
ガタリと音が聞こえ、が襲われた!!と思い天井を飛び降り
の体を奪う
曲者との距離をとってを見る
「お前はバカか!!」
「ふぁっ!?さ、ぶろ!」
「だけに被害が及ぶ?!冗談じゃない!!もう私にあんな光景を見せるな!!」
大きく叫んでからハッとする
パチクリと目を瞬かせる
前を向けば唖然と正座している曲者
「え」
「あ、えっ…」
「っは」
啖呵を切ったように笑い出す曲者
それに目を見開いていると、腕の中からも笑い声が響く
「ふふっ、…ほら、曲者…忍たまに殺される前に逃げろ」
「あははは!そうだな、じゃあ…また何かあったら知らせる」
「ああ、頼む」
一瞬で消えた気配
プロ忍者だったのか
ホッとし、の安全を確かめようとはっとする
「あ、わっ、悪い…ぶべっ!」
「逃げんな!」
天井に戻ろうとした私の足を掴む
その行動に足を躓かせ畳に顔を叩きつけた
「さぶろう!」
「…、私は…」
「さっきの、」
「―――あ、あれは…」
「……」
と向き合っての目を見る
まつ毛の長い瞳をまじまじと見るのはあの情事以来だ
瞳はコバルトブルーで異国情緒を放っている
「私は」
この瞳の色が消えるかと思ったんだ
「の気配がなくなるのが怖い」
「え?」
肩を抱き引き寄せる
華奢な身体は簡単に腕の中に入ってきた
「こうやって、抱きしめられなくなるのが怖い
と話せなくなるのが怖い
こんなの、可笑しいか?」
ギュッと強めに抱き寄せればピクッと体が反応する
「私は、お前を失うのが怖いんだ」
「――――」
「怖くて、怖くて…私がを刺した時を思い出しては、もう近づいちゃいけないって」
私が思い出してしまうんだ
今だって、あの時、が刺されたこと…鮮明に思い出せる
「さぶろ」
「…、」
「なんや、それ…」
「!」
少しだけ怒気の入った声
の顔を見れずに肩に顔を埋める
「俺はもう、そないなことどうでもええねん」
「でも、そんなの」
「約束したんや、みーんなと」
―――ー さん!絶対に僕らがいってらっしゃいっていったらただいまって帰ってくるんですよ!?
―――― それができないなら、僕らはさんがいやだって行っても助けに行きます!
「って、左近たちがゆうねん」
―――― 俺らが迷子になったら誰が探すんだよ
―――― 俺を過労死させるきっすかぁ、さぁぁぁぁんっ!
―――― 僕が不在の時、ジュンコの相手はさんにしか任せられないんですが…ジュンコに寂しい思い、させる気ですか?
「って左門たちが、」
―――― 私だって、が生きていれば救われる!
「小平太たちも、」
愛されてるんだなあって
嬉しそうに語りかける、
「ごめんなさい」
「んー?」
「刺して、ごめんなさい」
「ちゃうやろ、三郎」
「――ーッ?」
「さっき、無視してごめん…やろ?」
俺も勝手に飛び出して堪忍な?
怖い思いさせて堪忍
「ただいま、三郎」
「おかえり、」
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