「戻りたい…ゆうんは我儘なんよな」
「、はいるぞ」
「若ッ!」
サッと荷物を背後に置いて若を部屋に招く
若が邪魔したかな?と苦笑するのを首を横に振ることで否定して
「どうかされたんですか?」
「ああ、ひと段落ついたからな…ああ、お前は下がれ」
若を乗せている絡繰りから手を離し、側近の人が出ていく
「どうかされたのですか?」
「お前と話したくてな、」
「俺ですか?おもろい話はできひんと思いますが」
「面白い話を聞きに来たわけではない、…学園はどうだった?」
「学園ですか?あそこは面白いですよ」
若が楽しそうに聞いてくれるものだから
一人ひとりのことを沢山話した
「その時にですね、滝夜叉丸ってば――…、わか?」
「子離れっていうのはこういうことなのかなと思ってな」
「え?あ、というか俺…話すぎて…!身体にご負担が!」
「いい、いい。そういうことではなく」
「ッ」
頬を撫ぜられ頭を撫でられ
ポンポンッと数回頭を叩かれた
「?」
「好きなところに行けばいい、」
「え?」
「私にはお前が必要だ…けど、今はもう安心な状態になった…それに、お前を縛るようなことはしたくないし」
「俺だって、若のことが必要で」
「ここはお前の帰る場所だ。守る場所は…ほかにあるんじゃないか?」
「―――、」
「守る場所は大事に守らないと、一秒たりとも目は離してはいけないよ」
「どういう「とっ殿!」
ガラリと開けられた障子に2人で顔を上げれば、息を切らして困った顔をする皆
「忍術学園の生徒たちが…」
「―――」
「あっはっは、早かったな!」
「え?」
「あー、面白いな、忍術学園は」
「え?え?」
何が起こっているんだと若を振り返ったとき
目の前が群青色に染まる
「おー、大層なご登場だなお前たち…」
「!」
「ッ!」
バフッと双方から抱きしめられ目を見開けば
オレンジ色の髪が見え、それを思わず抱きしめ返してしまった
「こンのド阿呆!」
「ぶへっ」
「あ、こら、三郎…!ダメだよ怒鳴ったら、あとでみんなで怒ろうっていったじゃん」
「我慢できるか!突然いなくなりやがって…何してるんだ貴様は…!!」
「―――ッ」
「急にいなくなったら怖いじゃないですか」
「一年が泣いているぞ…」
「え」
「さんが帰ってこないーって、学級委員長が宥めてるのに、私の後輩に仕事を増やすな」
「忍術学園の生徒は、豪快だなあ」
「!あ、あの…お邪魔してます」
「ああ、構わないよ」
雷蔵が急いで挨拶するのに、さっきから足音聞こえてきていたし
そう飄々と答える若に目を見開く
「そこでじっくり聞いている、忍者さんたちも」
「ばれていましたか、」
シュタッと音もわずかに聞こえるくらいの音で降りてくるのは仙蔵たちで
俺の頭を無言でグリグリしてくる
痛いよ、仙蔵さん
「男たるものが黙って逃走なんぞ…!!」
「もんじろ…、」
「バカタレイ!!」
「ぎゃっ!」
「わあ!文次郎、殴らないの…皆で説教するって約束したじゃないか」
「そのさっきから皆で説教っちゅーんが気になるんやけど」
「―――、さん…俺らにはまだが必要みたいです」
「私はが居ないとダメだッ」
小平太の腕の包まれ息が詰まる
目をおおわれ視界が阻まれる
「さん、私も貴方も同じ気持ちだ…わかってる…私の我儘だということも」
「ああ、お前らは腕の中に居るソイツの意見を無視してるからな」
我儘に通りない
「…それでも、僕らはこの人が必要で」
「そんな我儘も受け入れてくれる彼が大事なんです」
「」
途切れてしまった思考をフル回転させて開いた視界に若が入る
ふわんっとした微笑みをもった彼は俺を暖かくさせて
「どうしたい、」
「―――、たい」
スルリと本音を引き出せるのが上手なんだ
「忍術学園に、もどりたい」
言葉を紡いだ瞬間、周りの皆にもみくちゃにされてしまった
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